【2月10日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のスーパースター、コービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏らを乗せたヘリコプターが墜落した2020年1月の事故について、米運輸安全委員会(NTSB)が9日に調査結果を発表し、パイロットが雲の中で平衡感覚を失った可能性が高いと述べた。

 2020年1月26日の事故では、ブライアント氏や娘のジアナ(Gianna Maria-Onore Bryant)さんらが乗っていたヘリコプターが、霧の中でロサンゼルス西部カラバサス(Calabasas)の丘陵地帯に墜落し、パイロットを含む9人全員が命を落とした。

 この事故の原因について、NTSBはパイロットのアラ・ゾバヤン(Ara Zobayan)さんが「空間識失調」に陥った可能性が高いと発表。さらに、セレブリティーの顧客を送り届けなければならないという「プレッシャーを自分にかけていた」と考えられることも要因に挙げた。

 ヘリコプターを保有・運航していたアイランド・エクスプレス(Island Express Helicopters)社に関しては、安全管理プロセスの「見直しと監督が不十分だった」点が事故の一因と考えられると述べる一方、ヘリコプターに故障はなかったという。

 気象条件については、当日午前は飛行できるぎりぎりのラインではあったが、有視界飛行の条件は満たしており、パイロットは雲を抜けて地上を目で確認し続けられる状態だったという。

 パイロットは事故の直前、雲を抜けるため地上4000フィート(約1200メートル)まで上昇中だと伝えてきていたが、実際にはヘリは左へ急旋回してから急下降していた。調査チームは、パイロットが下降を上昇と勘違いしていたのではないかと述べている。(c)AFP/Chris Lefkow