【2月9日 AFP】不安、うつ、自傷、さらには自殺まで──米国では新型コロナ禍で心の健康に不調をきたす子どもが増えており、医師や教師、親、政府が警鐘を鳴らしている。

 昨年3月以降、多くの学校がオンライン授業に切り替えた。子どもたちは何時間もコンピューターの前に座るだけで、友達と遊んだり、直接話をしたりすることなく、スポーツや対面の美術や音楽の授業もなくなった。

 フロリダ州のサラ・フランク(Sarah Frank)さん(18)は、昨年3月以降、自宅に閉じこもっている。新型コロナウイルスに感染すれば健康上のリスクが高いとされる親族と暮らしているからだ。

 フランクさんはAFPに、「日々、本当に悲しいと感じていて、ちょっと絶望している。決して終わらない悪夢のようだ」と話した。

 フランクさんは昨年7月、「心の状態プロジェクト(State of Mind Project)」というティーンエージャー向けに心身の健康に関する情報を提供するウェブサイトを立ち上げた。

「高校でのたくさんの経験を逃したし、二度と取り戻せない。アメリカンフットボールの試合にも、プロムにも行けなかった」

 2人の子どもがいる心理学者のディアナ・カプート(Deanna Caputo)さんは、10歳の息子がうつの兆候を示していると話す。息子の通うバージニア州アーリントン(Arlington)の学校は、昨年3月以降、オンライン授業になっている。

 カプートさんは、もっとひどい状態の子もいると言う。需要が急増したため、親たちはセラピストを見つけられない状況だと言う。

 米疾病対策センター(CDC)は最近、マスク着用やソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)など適切な対策が講じられていれば、学校は安全だとする報告書を発表した。

 米国の子どもの自殺者数は、ここ10年増加傾向にある。2020年の統計はまだないが、ラスベガス(Las Vegas)があるネバダ州クラーク郡(Clark County)で昨年3月以降に自殺したのは19人と、前年同期の2倍を超えた。

 この数字と新型コロナの流行の間に直接的な関係があるわけではないが、当局はすぐに学校の再開を発表した。

 CDCによると、昨年3~10月に精神科の救急外来を訪れた12~17歳の子どもの数は、前年同期に比べ31%増加している。また、5~11歳の子どもでは同24%増だった。(c)AFP/Laura BONILLA