アストラゼネカ製ワクチン「排除はあまりに時期尚早」 WHO
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【2月9日 AFP】世界保健機関(WHO)は8日、南アフリカが接種開始を延期した英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)製の新型コロナウイルスワクチンについて、依然、同ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)との闘いにおいて極めて重要なツールだと強調した。
アストラゼネカと英オックスフォード大学(University of Oxford)が共同開発した新型コロナワクチンについては、南アで見つかった変異株による軽症~中等症の症状を防ぐ効果が低いとの臨床試験結果が7日、明らかになった。これを受けて南ア政府は、数日以内に開始を予定していた同ワクチンの接種プログラムの開始を延期すると発表した。
アストラゼネカ製ワクチンは、65歳以上の人への有効性に関する問題などに直面している。だが、新型コロナ流行に関するWHOの隔週定例会合に出席したワクチン開発の国際連携組織「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」を率いるリチャード・ハチェット(Richard Hatchett)氏は、「このワクチンを排除するのはあまりに時期尚早だ」と述べ、「われわれが手にしているこのツールを、可能な限り効果的に使用することが絶対的に重要だ」と語った。
CEPIは、WHOやワクチン普及に取り組む国際組織「Gaviワクチンアライアンス(Gavi, the Vaccine Alliance)」とともに、新型コロナワクチンを世界で確実かつ公正に分配することを目指す枠組み「コバックス(Covax)」を主導している。
現段階でアストラゼネカ製ワクチンは、コバックスにおいて極めて重要な位置を占めている。来週にも見込まれているWHOの承認が得られれば、コバックスは、今年前半のうちに約145か国へ向けてワクチン3億3720万回分の配布を開始する用意をしているが、そのほとんどを占めているのがアストラゼネカ製だ。
しかし、南アのウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)が行ったアストラゼネカ製ワクチンの臨床試験で、南ア変異株の軽症~中等症には「最小限」の予防効果しか認められなかったという結果が出たことは、同ワクチンがもたらす流通上のメリットに期待する多くの貧困国にとって悪い知らせと言える。(c)AFP/Nina Larson with AFP Bureaus