【2月9日 AFP】米フロリダ州タンパ(Tampa)近郊オールドスマー(Oldsmar)で5日午後、上水道管理システムに正体不明のハッカーが侵入し、人体に害を及ぼす恐れのある水酸化ナトリウムの濃度が一時的に通常の100倍以上にされていたことが分かった。現地の保安官事務所が8日、発表した。

 同州ピネラス(Pinellas)郡のボブ・グアルティエーリ(Bob Gualtieri)保安官は、侵入はすぐ検知され、濃度が元に戻されたため、住民が実際に危険にさらされることはなかったが、米国のインフラに対するサイバー攻撃の脅威が改めて示されたと述べた。

 同保安官によると、オールドスマーの給水処理施設のコンピューターオペレーターが5日午後、何者かが同施設の管制室にリモートでアクセスしていることに気付いた。マウスのポインターが数分間にわたっていくつかの機能の間を動いた末、水に水酸化ナトリウムを追加するシステムを開いたという。

 水酸化ナトリウムは、酸性度の調整と金属分の除去のため、水道水にごく少量添加される。しかしこのハッカーは、添加する水酸化ナトリウムの濃度を通常の100ppmから、100倍以上の1万1100ppmに引き上げてシステムから出た。

 グアルティエーリ保安官は、このハッキングにすぐ気付かなかったとしても、水酸化ナトリウム濃度が高まった水が消費者に届くには最低でも24時間かかり、その間に安全管理機構が働いて水質の変化を当局者に知らせていたはずなので、水道利用者に危険はなかったはずだと説明した。

 同保安官によると、連邦捜査局(FBI)と米大統領警護隊(シークレット・サービス、US Secret Service)も入って捜査しているが、現在のところ容疑者は浮上していない。どこからハッキングされたのか、なぜオールドスマーが狙われたのかも不明だという。(c)AFP