ワクチン接種ボランティアの育成急ぐ英国、医療資格なくてもOK
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【2月8日 AFP】カメラの扱いならお手のものだが、注射器の扱いには慣れていないドキュメンタリー映画監督のマイク・デイ(Mike Day)氏(41)にとって、英政府の大規模ワクチン接種計画に「打つ側」として参加するなど、新型コロナウイルス流行前には「最も期待されていないこと」だっただろう。
デイ氏は、2月半ばまでに重症化リスクの高い1500万人に新型コロナウイルスワクチンを接種するという政府目標を達成するため、採用されたボランティアの一人だ。だが、多くのボランティアは医療資格を持っていない。
「自分の行動で変化をもたらす機会が訪れたときには、いつも迷わず飛び付いてきた。だから今回、ボランティアの話を聞いてすぐに応募したんだ」。ロンドン東部のビジネス地区カナリーワーフ(Canary Wharf)にある高層ビルの32階で開かれたワクチン接種の講習会で、デイ氏はAFPにこう語った。
先月末に行われた講習会では、マスクと手袋を着用したボランティア120人がワクチンの接種方法について指導を受けた。ボランティアの一人が講師の腕に巻かれた実習用パッドに注射針を刺すと、「ああ!」と講師が悲鳴を上げ、見学していた他のボランティアたちから笑い声が上がる。別の講師が、「筋肉に深く」針を刺すよう指導した。
応急処置などの普及活動に取り組む団体「セント・ジョン・アンビュランス(St John Ambulance)」が開いたこの日の講習会には、30代の事務助手や歯科医師、19歳の医学生も参加していた。
英国で進められている2種類のワクチンの大規模接種計画のため、セント・ジョン・アンビュランスは3万人のボランティアを採用する計画だ。応募資格は18歳以上で、中等教育を卒業し、犯罪歴がないこと。職業は不問で、あらゆる経歴の人々が集まっている。
カナリーワーフでの講習会と同様のボランティア育成プログラムは、全国各地で定期的に行われており、15時間のオンライン講習で学んだ知識を実習する機会を提供している。
セント・ジョン・アンビュランスの講師、カール・ファザッカリー(Carl Fazackerley)氏は、「国民保健サービス(NHS)は新型コロナウイルスの流行で、すでに逼迫(ひっぱく)している。NHSだけでこのワクチン接種計画を遂行するのは不可能だ」とAFPに語り、ボランティアの参加は「絶対に必要だ」と説明した。(c)AFP/Martine PAUWELS