【2月8日 東方新報】新型コロナウイルス抑制の最大の切り札であるワクチン。米国、英国、イスラエルなど「豊かな国」で接種が進む一方、世界的にはまだまだ品不足。そんな中、中国製ワクチンが各国に広まり、国際的な「ワクチン格差」是正に寄与している。

 これまでに中東のエジプト、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、トルコ、東南アジアのインドネシア、南米のブラジル、チリなどが中国製ワクチンの使用を認めており、40か国以上が輸入を希望。トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領、インドネシアのジョコ・ウィドド(Joko Widodo)大統領、セーシェルのワベル・ラムカラワン大統領(Wavel Ramkalawan)など、多くの指導者が中国製ワクチンを接種している。

 欧州では人口700万人のセルビアがすでに100万回分の中国製ワクチンを輸入。セルビアの隣国ハンガリーは1月末、欧州連合(EU)で初めて中国製ワクチンを承認した。

 欧米諸国の間ではこれまで「中国製やロシア製のワクチンは信用できない」「中国はワクチンを外交カードに利用している」との批判がつきまとった。しかし、英製薬大手のアストラゼネカ(AstraZeneca)と米ファイザー(Pfizer)が開発したワクチンはそれぞれ英国、米国へのワクチン供給が優先され、EU諸国の間では不満が高まっている。ドイツのイェンス・シュパーン(Jens Spahn)保健相は「EUで承認されれば、ドイツで中国製とロシア製をワクチンの使用することに支障はない」と述べ、フランスの免疫学者アラン・フィッシャー(Alain Fisher)氏も「EUがロシア製や中国製のワクチンの使用を検討しない理由はない」としている。

 中国製ワクチンはこれまでに世界で1500万人以上が接種しており、安全性と有効性が検証されてきている。ファイザー製ワクチンはマイナス70度以下の保管が必要で輸送や管理が難しい一方、中国製ワクチンは、2~8度の環境下で輸送・保管が可能。発展途上国での接種実現に大いに貢献している。 

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は5日、「ワクチン接種者の4分3以上は世界の国内総生産(GDP)の大部分を占める10か国に集中している。約130か国で接種が始まっていない」と指摘。「発展途上国などへの供給が遅れるとウイルスが変異してしまう。自国民を守る最良の道は高齢者などに接種後、他の国にワクチンを分けることだ」と呼びかけている。

 しかし、各国とも自国民優先の姿勢を変えることは難しい。発展途上国などでは「私たちの命が軽視されている」という不満が高まっており、中国製ワクチンが世界的に公平なワクチン配分に寄与している。(c)東方新報/AFPBB News