【2月7日 AFP】ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐の独裁政権が崩壊してから約10年にわたって混乱が続いていたリビアは6日、今年12月の国政選挙まで国を率いる暫定首相の選出を受けて新たな移行段階に乗り出した。

 アブドルハミド・ドベイバ(Abdul Hamid Dbeibah)氏(61)は5日、スイスのジュネーブで開かれた国連(UN)主導の和平協議で、リビアから出席した75人の投票によって暫定首相に選出され、昨年11月に始まった対話プロセスは結果を出した。統一政府の樹立に向けて12月24日に予定されている選挙に国を導く、暫定統治評議会メンバーの3人も選出された。

 選挙は昨年10月に発効した停戦を前提に国連主導で進められている複雑なプロセスの一環だが、停戦が続くのか不透明感もある。国連が仲介し、ファイズ・シラージュ(Fayez al-Sarraj)氏が率いる国民統一政府(GNA)の樹立につながった2015年の政治合意は崩壊した。こうした流れを経てリビアは新たなスタートを切った形だ。

 リビアは首都トリポリを本拠とする国民統一政府と、東部を拠点に国民統一政府と敵対するハリファ・ハフタル(Khalifa Haftar)司令官の政府が並立する事態となり、混乱が続いた。英国やフランス、ドイツ、イタリア、米国は、転換点になり得る今回の合意を歓迎しつつも慎重姿勢を崩していない。今回暫定指導者に選出された4人はリビア西部と東部、南部の出身で、2つの対立政権と無数の民兵によって分裂した国を統一する課題に直面する。

 アナリストはひとまず懐疑的な見方を示している。ドイツ国際安全保障研究所(SWP)のシニアアソシエート、ウォルフラム・ラッハー(Wolfram Lacher)氏は、新たな暫定統治体制が「リビア東部に影響力を行使するのは非常に困難で、西部で抵抗に遭う可能性さえある」と分析し、「(5日に)暫定指導者に選出された4人は、権力の掌握と維持を除けば共通の関心がそれほどない」と語った。(c)AFP/Rim Taher in Tripoli and Hamza Mekouar in Rabat