【2月6日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領の支持者は、大統領選で選挙関連のテクノロジー企業による不正操作で同氏に不利な結果が出たという陰謀論を執拗(しつよう)に展開しているが、米国のソーシャルメディアのユーザーが次にこの説を当てはめているのが、今週、軍が国家権力を掌握したミャンマーだ。だが、この説は事実無根だ。

 ソーシャルメディアで言及されている2社は、自社の機器はミャンマーでは使用されていないと明言しており、同国で昨年11月8日に実施された選挙の際にAFPが撮影した画像や選挙監視団の記録からも、現地での投票と集計はいずれも手作業で行われていたことが判明している。

 今月2日、ツイッター(Twitter)に、「ミャンマーの(昨年)11月の総選挙について:ドミニオン投票システムズ(Dominion Voting Systems)とスマートマティック(Smartmatic)が使用され、数百万票の不正投票が発覚。選挙管理委員会は証拠の検証や有権者名簿の照合を拒否した。軍は、政府が法に違反するのを阻止するのが自分たちの役割だと考え、当選者の身柄を拘束。改めて選挙が実施される。どうよ、米国?」という書き込みが行われた。

 この投稿はフェイスブック(Facebook)でもシェアされ、「この国でも、これくらいやらなければ!」や「わが国の軍も同じ行動を起こす時が来た!」など、賛同するコメントが書き込まれている。

 だが、ドミニオン投票システムズとスマートマティックは、ミャンマーで昨年11月の総選挙には関与していない。両社は、米大統領選で不正行為に関与したという虚偽の主張で名誉を毀損(きそん)されたとして、損害賠償を求める訴えを起こしている。

 スマートマティックの広報担当者はAFPの取材に対し、「スマートマティックはミャンマーの2020年の選挙には一切関与していない」と電子メールで回答した。

 一方のドミニオンには、AFPは何度も取材を申し込んでいるが、今のところ回答はない。だが同社の広報担当者は政治情報サイト「ポリティファクト(Politifact)」に対し、「(ミャンマーの選挙で同社の機器が使用されたという)この主張はまったくの虚偽。ドミニオンのシステムがミャンマーで使用されたことは一度もない」と述べている。