【2月6日 AFP】ドイツの検察当局は5日、ナチス・ドイツ(Nazi)の強制収容所の秘書だった女性(95)を1万人以上の殺害をほう助したとして訴追したと明らかにした。ナチスの戦争犯罪で女性の訴追は近年ではまれ。

 元秘書は、ナチスに占領されていたポーランドのグダニスク(Gdansk、ドイツ語ではダンチヒ Danzig)近郊にあったシュトゥットホーフ(Stutthof)強制収容所で働いていた。

 検察は元秘書の名前を明かしていないが、公共放送の北ドイツ放送(NDR)は、ハンブルク(Hamburg)北部の高齢者介護施設で暮らす「イルムガルト・F(Irmgard F)」だと伝えた。

 ドイツ北部イツェホー(Itzehoe)の検察は、1943年6月~1945年4月に「強制収容所の司令官の速記者兼秘書として、ユダヤ人捕虜、ポーランドのパルチザン(レジスタンス運動の不正規部隊の隊員)、ソビエト連邦の戦争捕虜を組織的に殺害した収容所の責任者らを手助けした」としている。

 当時未成年だった元秘書は、「1万件以上の殺人のほう助」や殺人未遂の共犯で訴追されたと検察は述べた。

 検察はAFPに対し、米国とイスラエルに居住する証人らへの聞き取りを含む「非常に入念な」捜査を行ったと明らかにした。裁判の争点は元秘書の「具体的な責任」で、歴史家らが強制収容所における職務範囲の調査に当たったという。

 検察は、裁判を開くかどうかは裁判所が決定するとしながらも、検察としては、元秘書は公判に耐えうると考えていると述べた。元秘書は犯罪が行われた当時は未成年だったため、少年裁判の対象となる。(c)AFP/Hui Min NEO