【2月6日 AFP】国際刑事裁判所(ICC)は5日、1967年以降イスラエルが占領しているパレスチナのガザ地区(Gaza Strip)と、東エルサレム(East Jerusalem)を含むヨルダン川西岸(West Bank)にICCの管轄権が及ぶとの判断を示した。パレスチナでの戦争犯罪を扱う法廷の開設に道を開く動きだ。

 ICCのファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官は2019年12月、パレスチナでの戦争犯罪について本格的に捜査したいとして、同地にICCの管轄権が及ぶのか判断を求めると発表していた。

 ICCは、「判事らの多数決により、パレスチナにおける状況についてのICCの領域的裁判管轄権は(中略)1967年以降イスラエルが占領している地域、すなわちガザ地区と、東エルサレムを含むヨルダン川西岸に及ぶと判断した」と発表した。

 パレスチナは2015年にICCに加盟したが、イスラエルは非加盟。ICCは、パレスチナがICC加盟国であることから今回の判断に至ったものであり、国際法の下での境界紛争に裁定を下すものでも、将来の国境について何らかの判断を示したものでもないとしている。

 ICCの判断を受けて、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は、ICCは「政治機関」だと非難。米国は「深刻な懸念」を表明した。パレスチナは「正義の勝利」だとして歓迎した。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)の国際司法顧問バルキース・ジャラー(Balkees Jarrah)氏は、「今回のICCの判断は、加害者が半世紀も罰せられずにきた深刻な犯罪の被害者に、ようやく正義の真の希望をもたらすものだ」と評価した。(c)AFP/Danny KEMP