【2月5日 AFP】米ニューヨークの不動産業者が、ある賃貸物件を動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」で紹介し話題になっている。トイレもコンロもないワンルーム、それでも家賃月1650ドル(約17万3000円)の「ニューヨーク市史上最悪のアパート」だとしている。

 物件を紹介したのは、不動産仲介業のキャメロン・ノウルトン(Cameron Knowlton)さん。ノウルトンさんが先週自身のアカウント「New York City Realtor」に先週投稿した動画は、すでに2100万回以上再生されている。

「NY市史上最悪のアパート!!!」と題されたこの動画には、風呂、トイレ、コンロがなく、あるのは冷凍庫のない小型冷蔵庫と狭いクローゼットだけというワンルームの部屋が映っている。

 ノウルトンさんはカメラに向かって「ニューヨーク市で最も人気の地区だと、1650ドル払って住めるのがここになる」と説明した。

 さらにノウルトンさんは室外に出て「このアパート全体で共有」されているというトイレとシャワーまで歩いて行き、「結構きれいだ」と語った。

 ノウルトンさんはAFPに対し、この部屋は市内のウエストビレッジ(West Village)地区にあるが、家主の気分を害さないよう詳細な住所を明かすことは差し控えるとしている。

 ニューヨークでは、好条件とは言い難い物件の広告はインターネットに掲載されないことも多く、この部屋の情報もオンライン上には出ていない。このためAFPは、この部屋を独自に確認するには至っていない。

 動画には4万1000件以上のコメントが寄せられている。あるユーザーは「私がニューヨークで初めて住んだアパートはまさにこうだった。(中略)タイムズスクエア(Times Square)にあって、窓から見えるのはれんがの壁だけ。地獄だった」とコメントした。

 ドイツ銀行(Deutsche Bank)が昨年まとめた世界で最も家賃の高い街ランキングでは、新型コロナウイルスの流行を受けて家賃相場は下がったとはいえ、香港とサンフランシスコに次いでニューヨークが3位に入っている。

 賃貸住宅情報サイトのレントカフェ(Rent Cafe)によると、昨年10月時点で、同市内マンハッタン(Manhattan)の平均家賃は月3790ドル(約40万円)、賃貸アパートの平均面積は65平方メートルだったという。(c)AFP/Peter HUTCHISON