【2月4日 People’s Daily】透き通るガラスの天井、張り巡らされた細い灌漑(かんがい)パイプ、ボタン一つでコントロールできる収穫車……中国江蘇省(Jiangsu)鎮江新区にある新港農業科技有限会社のデジタル温室では、中央の通路の両側にトマトが植えられ、1株ごとに高さ1メートルほどの支柱にくくられて成長中である。「栽培棚の上部からワイヤーをつり、1株ごとにトマトを支えます。栽培空間の使用効率を上げ、どの株にも均等に光が当たるようにしています」と、新港農業オフィスの王明静(Wang Minjing)主任は言う。

 1月の鎮江は気温がすでにセ氏0度以下に下がっているが、デジタル温室では常にセ氏25度前後が保たれ、スマート化管理と現代化された設備の応用はここでは欠かせないものだ。「スマートコントロールシステムによって、今の栽培は大脳を得たようなものです。私たちはバックヤードで温度・湿度・光量をスマート観測・調節できます。外では四季が変化しますが、屋内は常春です」と、同社の盧練(Lu Lian)技術総監は語る。

 細かく観察すると、栽培棚の中のどのトマトも、畝(うね)に注射器のようなカテーテルが刺さっている。カテーテルは畝の底の部分に埋められ、水分と養分を運び、頂上部では定時に作物に対してスマート灌漑が行われる。盧練氏が言うには、栽培棚内の設備は作物の生長とその月の日照指数に基づいており、自動的に液体肥料の比率が決められ、作物の精密な管理を実現している。

 このように育てられたトマトは、植えてから9か月生育し、1株から25の花房ができ、それぞれの花房から3~4のトマトがなる。1株あたりの年間生産量は15キロの計算となり、経済効果は従来のトマト栽培の3倍から4倍である。

「生産量がこんなに多くて、農薬をまかなくてよいのですか?」「私たちは生産の全過程で農薬を散布しないので、実は直接食べることができます」。記者の質問に、王明静氏は笑って答えた。元来、新港農業では土を使わない栽培法を通じて土を媒介する病気を隔絶しようとしており、同時に灌漑水源の二次濾過(ろか)を行うことで病害の発生率を抑えており、食品の安全を確保している。同時に、ビッグデータ追跡技術も食品生産追跡で応用されている。新港の仕分け管理作業所では、従業員がトマトに「身分証」を貼り、QRコードを読み取るとすぐトマトの生育情報や検査結果などを知ることができる。

 高効率農業の理念は栽培自体のみに限らず、作物生産の各サイクルまで延長されている。近年、鎮江新区では現代的な高効率設備農業の発展に力を入れており、振興の市場プレーヤーを育成し、全区においてスマート温室や水・肥料一体型のスプリンクラーなどの設備普及が進んでいる。

 2020年末までに、鎮江新区での各種設備農業の面積は52.7万ムー(約351平方キロメートル)、農耕地における比率は24.2%。栽培大棚は4万3719基。専有面積は4万5015.6ムー(約30平方キロメートル)である。(c)People’s Daily/AFPBB News