【2月2日 AFP】ウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州とルガンスク(Lugansk)州を支配する親ロシア派の2組織は1日、ロシア製新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV(Sputnik V)」の接種を開始したと発表した。一方、ウクライナ政府はスプートニクV以外のワクチン確保に追われている。

 両州は2014年、ロシアの支援を受けた親ロシア派が独立を宣言し、戦闘状態になった。今回のワクチン提供は両州に対するロシアの支援が続いていることを示している。

 親ロシア派が建国を宣言した「ドネツク人民共和国」の指導者、デニス・プシーリン(Denis Pushilin)氏は第1弾となる「数千回分」のスプートニクVが到着し、1日から医師と兵士を対象に接種を開始すると発表した。

 同じく親ロシア派が樹立を宣言した「ルガンスク人民共和国」の公式ニュースサイトは、指導者レオニード・パセチニク(Leonid Pasechnik)氏が「ロシアからの多大なる援助のおかげで、わが共和国は任意のワクチン接種を無料で行うことができる」と述べたと伝えた。

 ドネツクとルガンスクは、ワクチンを購入したのか、それとも寄付されたのかには言及していない。両地区の人口は合わせて約300万人に上る。ルガンスクの保健当局は、ワクチンはロシアによる「人道支援団」の支援の一環だとしている。

 一方、ウクライナでは新型コロナワクチン接種の開始めどが立っておらず、ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領に対する圧力が強まっている。

 欧州で最も貧しい国の一つウクライナは、国連(UN)のワクチンの確実で公正な分配を目指す国際プログラム「COVAXファシリティ(COVAX Global Vaccine Facility)」から800万回分、中国製ワクチン「CoronaVac」を最大500万回分確保している。(c)AFP