【2月1日 People’s Daily】インターネットを通じて商取引をするeコマースが活発な中国。農村部でもeコマースで特産品を販売する取り組みが進んでいるが、村から最寄りの町の集積ステーションまで農産物を運ぶ手段がネックとなっている。全国の流通網とつながらない「最後の1マイル」といわれる問題を解消するため、広東省(Guangdong)茂名市(Maoming)化州県(Huazhou)は昨年4月、ロープウエーやロボットを活用した「スマート宅配システム」の運営を始めた。6年の歳月をかけて開発した全国初の試みで、試験運用初日に8件の荷物を運び、半月後には3000件以上に急増。農村におけるeコマースを強力に推進している。

 農民たちはスマートフォンで注文を確認すると、すぐさまサツマイモやザクロなどを収穫し、村のスマート宅配ステーションに届ける。スタッフはゴンドラの形をした箱型シャトルロボットに品物を入れる。箱型ロボットは電線ほどの高さの低空ロープウエーに乗って町の集積ステーションに向かい、到着すると自動的に品物を取り出す。一連の流れは中央スマート管理システムで管理されている。農民たちが長年苦労してきた配送とコストの問題が、スマート宅配により根本的に改善された。

 農村地帯に経済的活力を与えるには、何よりも物流問題の解決が重要だ。農産物は大きくて重く、それでいて単価は低く収穫地は分散している。そして町の集積ステーションまでの配送手段が乏しく、コストが高くなる。「最後の1マイル」を結ぶため、国家郵政局は「宅配便を農村へ・3か年アクションプラン」を進め、2022年末までに農村部にスマート宅配網を張り巡らそうとしている。その先駆けとなった茂名市では、「県・町・村」の3層ネットワークを構築。各地から1時間で商品を配送できるようにした。ビッグデータやクラウドコンピューティングといった最新技術を活用し、小ロットの注文にも繰り返し対応。「いつでも発送し、速やかに到着して、低コスト」を実現した。

 長期的に見ると、農村におけるスマート宅配は物流改革やコスト低減をもたらすだけでなく、宅配業と農業、観光業を統合させる役割を果たしており、農民の持続的増収につながっている。商務部と国家郵政局は最近の通達で「eコマース事業者、宅配業者、運送業者が一体となって県・町・村の集配システムを強化し、地域の潜在力を掘り起こし、農村振興を図る」ことを呼びかけている。

 それぞれの農村が個別に人材、モノ、資金を投入すると、宅配システムの重複が避けられない。また、宅配ネットワークの構築を市場に委ねると、企業によっては参入意欲を失い、投資バランスが崩れる恐れもある。政府は宅配システムへの資金助成や建設支援だけでなく、辺境地区にもまんべんなくネットワークが行き渡るよう全体を統括し、科学的にコントロールする必要がある。

「最後の1マイル」を宅配ネットワークにつなげることは、農村部の貧困解消や地域振興につながり、農民たちがより良い明るい生活に進む道を切り開くことになる。(c)People’s Daily/AFPBB News