【2月1日 AFP】イスラエルで1月31日、新型コロナウイルス感染防止対策として導入されたロックダウン(都市封鎖)を無視して数千人のユダヤ教超正統派がラビ(ユダヤ教の宗教指導者)の葬儀に参列したことを受け、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相と対立するベニー・ガンツ(Benny Gantz)国防相は、超正統派教徒による違反がたびたび許されるようなロックダウンには意味がないとして、期間延長を支持しない意向を表明した。

 1月31日、影響力を持つユダヤ神学校の代表を務めていたラビ(99)の葬儀に参列しようと、群衆がエルサレム(Jerusalem)の通りを埋め尽くした。多くはマスクをしていなかった。

 葬儀に備えて警察が待機していたが、AFPカメラマンによれば、集まった群衆を解散させようとしなかった。イスラエル政府は、2月1日午前0時に期限が切れる3回目の全国的なロックダウンの延長について審議することになっていた。

 ネタニヤフ氏はロックダウンの延長を支持しているが、超正統派が新型コロナ対策を守らないのを大目に見ているとして、対立勢力から多くの批判を集めている。

 右派のネタニヤフ氏は首相を11年務め、再選を目指す今年3月の総選挙では厳しい戦いを強いられるとみられているが、これまで超正統派の政治指導者らの支持に頼ってきた。

 一方、連立政権内でネタニヤフ氏と対立してきたガンツ氏は、ルールが誰にでも等しく適用されない限り、ロックダウンの延長を支持しない意向を示している。

 ガンツ氏はツイッター(Twitter)に、超正統派が葬儀に大勢参列した事態について、「今回の一件は、(ロックダウンの)不平等な実施がどのようなものかを物語っている」と投稿し、「何百万人もの家族や子どもが自宅に閉じこもってルールを順守しているのに、数千人の超正統派が葬儀に殺到した。ほとんどがマスクすらしていなかった」と批判。

「私たちは、効果のない見せかけのロックダウンの延長には賛成しない。全員が外出を制限されるか許されるか、二つに一つだ。(一部の人々だけを)特別扱いする期間は終わりだ」と述べている。

 イスラエル当局が実施している新型コロナ対策の渦中にあるのが超正統派で、一部の人々は特に学校やシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)の閉鎖をはじめとする規制を公然と無視している。

 先月24日にも、テルアビブ近郊のブニブラック(Bnei Brak)やエルサレムのメアシェアリーム(Mea Shearim)などを含む超正統派地区で、ロックダウンに抗議する超正統派と治安部隊が衝突する事態も起きた。(c)AFP