■ 「隣人を助ける」

 ウォータージェン(Watergen)社のオフィスの所在地は、イスラエル第2の都市テルアビブだ。ガザからは北に80キロにある。

 ミリラシビリ氏は、2009年にイスラエルに移住した後、ウォータージェン社を買収。以来、同社の装置輸出先は80か国以上に及んでいる。

 同社のCEO兼社長である彼の経歴は多彩だ。誘拐事件で有罪判決を受けロシアで収監されたが、その公判は後に欧州司法裁判所(ECJ)によって不備があったと認定された。

 ミリラシビリ氏は敬虔(けいけん)なユダヤ教徒だが、ガザの水危機について知ると、すぐ援助を思い立ったという。

 「飲める水を地球上のみんなに行き渡らせる。これが私たちの目標」とAFPに語った。「まず隣人を助けるべきなのは、初めから明らかだった」

 イスラエルはガザへの輸出を厳しく統制している。自社の装置の許可を得るのに「少し時間がかかった」と同氏は認める。イスラエル軍による「機器のチェックが必要だった」。

 ウォータージェン社の技術は太陽光パネルで駆動するので有望だ。地区唯一の発電所は輸入燃料に依存しているため、現地の需要を満たす能力がない。

 ミリラシビリ氏は、イスラエル人がガザ地区に入ることは禁止されているため、自社の装置の作動状態が見られないことを嘆いた。