【2月1日 AFP】中東のパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)は人口密度が高く、飲料水不足に長年悩まされてきた。しかし、太陽光を利用して空気中から水を直接抽出するプロジェクトが、この問題の解決に一役買っている。

 変わっているのは、このプロジェクトを考案したのがロシア系イスラエル人の億万長者、マイケル・ミリラシビリ(Michael Mirilashvili)氏であることだ。イスラム教徒が実効支配するこの地区は、2007年以来イスラエルによって封鎖されている。

 まだ数台しかガザ地区で稼働していないため、そこに密集する200万人の需要を満たすには程遠い。

「まだ始まったばかり」とパレスチナの市民社会グループ「ダムール(Damour)」の技術者ファティ・シェイク・ハリル(Fathi Sheikh Khalil)氏が説明した。イスラエル企業がガザで作業できないため、同グループが装置のうちの一つを稼働している。

 厳しい経済的苦境と度重なる電力不足に悩まされるガザ地区は長期にわたり、悪化する水危機にも直面してきた。

 過剰取水された帯水層は、塩水の浸食で劣化し、汚染物質にさらされている。利用できる水のほとんどは塩分が強く、かつ飲むには危険なため、ボトル入りの水の輸入が不可欠となる。

 国連(UN)によると、ガザの水で飲料水として国際基準を満たすのは3パーセントにすぎない。2012年の国連予測では、環境の悪化でガザがすでに「人が住めない」状態になっているはずだった。

 複数の調査は、ガザにおける腎臓結石の増加と下痢の発生率の高さは、質の悪い水の摂取に関係していると示している。

 水不足の解決の取り組みの一つは、欧州連合(EU)による巨大な海水淡水化プラントへの支援である。