【2月1日 AFP】英国は1月31日、香港に住む英国海外市民(BNO)数百万人への英市民権獲得への道を開く新たなビザ(査証)の申請受け付けを開始した。中国による言論弾圧から逃れることを望む香港市民に対し、旧宗主国である英国が門戸を開いた形だ。

【図解】国安法と対する香港の著名な民主活動家

 新ビザは1997年の香港返還以前に生まれた香港市民に所持資格があるBNOパスポート(旅券)を持つ市民とその家族らが対象で、英国での居住と就労を認めるもの。英国に5年間滞在した人は、市民権獲得につながる永住権の申請資格を得られる。

 今回の英の移民政策は、昨年の中国政府による香港への国家安全維持法(国安法)の導入を受けた措置。中国はこれに反発し、BNO旅券を正式な旅券や身分証明として認めない意向を示している。また中国は「さらなる措置」を講じる用意ができているとしており、中国当局が香港市民の英国渡航を妨げる懸念も浮上している。

 今回のビザ申請資格は香港人口750万人の約7割に当たる人に与えられる。昨年7月に国安法が導入されて以来、BNO旅券の申請件数は3倍超に膨れ上がり、1月中旬時点で保持者数は73万3000人に上った。英国は今後1年で最大15万4000人、5年間で32万2000人もの香港市民が英国に移住すると予想している。(c)AFP/Yan ZHAO, Jerome TAYLOR