【1月29日 AFP】中国当局から「分離主義を扇動」した罪で懲役5年が言い渡されていたチベット(Tibet)人活動家のタシ・ワンチャク(Tashi Wangchuk)さんが釈放された。弁護人が29日、明らかにした。

 タシさんは、自身が取り組むチベット文化の保護活動に関する米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)制作の短編ドキュメンタリーに出演。検察当局はこのドキュメンタリーについて、タシさんが分離主義を扇動した証拠だと指摘し、2018年に有罪判決が下された。ただタシさんは、その2年前からすでに拘束されていた。

 ドキュメンタリーは、タシさんが「チベット語使用の衰退」への対処を求めようと、中国国営メディアや裁判所に訴えるために首都北京を訪れた時の様子を追っていた。

 タシさんの弁護人、梁小軍(Liang Xiaojun)氏は28日にツイッター(Twitter)で、タシさんは当局者らに付き添われて帰宅し、現在は玉樹チベット族自治州(Yushu Tibetan Autonomous Prefecture)にいる姉妹の家族の元に身を寄せており、健康状態は良好ながら「完全に自由」かどうかは確信が持てないと書いていた。

 また梁氏は29日AFPに対し、最初のやりとり以降、タシさんやその家族と連絡が取れなくなっていると明かし、当局から引き続き規制を受けている恐れがあると懸念を示した。

 AFPは、玉樹チベット族自治州があり、多くのチベット人が暮らす青海(Qinghai)省の裁判所と刑務所関係者らに取材を申し込んだが、コメントは得られなかった。(c)AFP