【1月29日 AFP】レバノン第2の都市トリポリ(Tripoli)で、政府の新型コロナウイルス対策に抗議するデモ参加者と治安部隊との衝突が続いている。4日目となった28日には、参加者らは一部地元政治家の自宅前でごみ箱を燃やしたり、監視カメラを破壊したりした。

 レバノン最貧都市トリポリの住民らは、外出禁止令により生計が破壊されたと怒りの声をあげている。

 6人の子を持つ失業中のオマル・カルハーニ(Omar Qarhani)さんは、「彼らが私たちの心を焼き尽くしたように、彼らの家を焼き尽くしたい」と話す。

 1975~90年の内戦以来、最悪の景気低迷にあえぐレバノンに、新型コロナはさらに追い打ちをかけた。腐敗にまみれ、無能な政治家らに対する国民の怒りを駆り立てた。

 住民の半数以上が貧困線に満たず、非公式経済に従事しているトリポリは、ロックダウン(都市封鎖)の影響を特に受けた。住民らは25日から抗議活動を展開しており、28日までに1人が死亡した。

 2019年10月、レバノンに根付いた縁故主義と宗派主義制度の改革を求める抗議デモが全国で展開された。トリポリはその中心地となった。

 だが、新型コロナの流行で、抗議デモは徐々に縮小していった。昨年8月4日、首都ベイルートの港湾地区で大爆発が起こると、最も熱心だった活動家らも路上から姿を消した。

 しかし、当局が感染者急増を受け新型コロナ対策としてのロックダウン措置を2月8日まで延長すると、トリポリでは今週から抗議デモが再開された。

 レバノンの赤十字(Red Cross)によると、28日の衝突では少なくとも102人が負傷、5人が入院した。(c)AFP/Dylan COLLINS