【1月29日 AFP】地中海に面した南仏ニース(Nice)のレストラン経営者が、新型コロナウイルス対策で政府がカフェや料理店に出している閉鎖命令に背き、約100人の客を招いてランチ営業をしたとして28日、警察に拘束された。

 フランスでは新規感染者数の急増を受けて、昨年10月30日から飲食店に閉鎖命令が出ている。だが、クリストフ・ウィルソン(Christophe Wilson)氏(50)は27日、経営するレストラン「ポピーズ(Poppies)」を開店。集まった約100人はマスクを取り、テラスに陣取ったバンドの演奏を聞きながらプロバンスシチューなどの料理を楽しんだ。

 ウィルソン氏は集まった報道陣に対し、大手スーパーチェーンがほぼ通常通りに営業している点に触れ、「カルフール(Carrefour)やプリマ(Prima)などの多国籍企業(の店舗)に多くの人が集まっているのを見たら、もう(営業禁止は)受け入れられない」と訴えた。「私は従業員に給与を支払い、家族を養い、客を歓迎しなければならない」

 長期の閉鎖を余儀なくされたフランス各地のカフェや食堂は、破産寸前に追い込まれている。「誰かが皆を奮い立たせなければならない。私がそれでリスクを負うことになるのなら、それで構わない」とウィルソン氏は語った。

 警察はしばらくは店の様子を監視しているだけだったが、数時間後に事情聴取のためウィルソン氏を拘束した。ツイッター(Twitter)上では、警察の対応に抗議し同氏の釈放を求めるハッシュタグ「#LiberezChristophe(クリストフを釈放せよ)」がトレンド入りした。

 地元紙によると、ウィルソン氏は同日中に釈放されたが、後日裁判所への出頭を命じられ、犯罪歴としては残らない軽犯罪として処分を受けるとみられる。

 政府は、集会による感染拡大を阻止するため、少なくとも2月中旬までは飲食店の営業禁止を継続する方針を示している。だが、仏東部で活動するシェフのステファン・チュリヨン(Stephane Turillon)氏は、2月1日に一斉に店を開くよう全国のレストランに呼び掛けており、すでにシェフ数人や一般の数千人が賛同を表明している。(c)AFP