【1月29日 People’s Daily】中国河北省(Hebei)廊坊市(Langfang)永清県(Yongqing)にある京台高速道路のインターチェンジを降りると、波のデザインをした巨大な建物が見えてくる。北京市の経済・文化拠点を市外に移す大型プロジェクトの一つで、服飾業界が一堂に集まるセンター「雲裳小鎮」だ。北京市や天津市(Tianjin)、最先端スマートシティーの河北省雄安新区のいずれにもアクセスしやすい場所に位置する。北京大興国際空港や建設中の京雄都市間鉄道にも近い。

 29歳のアパレル経営者李運傑(Li Yunjie)さんは雲裳小鎮と北京の間をせわしなく行き来している。「北京で新しくオープンした複数の店舗に私たちのオリジナルブランドを卸しているんです。売り上げはなかなかいいですよ」

 李さんは4年前、北京市内最大の服飾市場・大紅門卸売市場から雲装小鎮に移転した。「ここでは2800平方メートルもの店舗を構えました。以前に比べて3倍の面積です。よりグレードアップした製品を作っていきますよ」。大都市・北京では多くの販売ルートがあったが、その分コストも高い。李さんはアクセサリーの加工・卸売りをしていたが、業種をもっと拡大したいと思っても困難だった。

 新天地に移り、可能性は一気に広がった。「雲裳小鎮は地理的に北京と天津両方の市場が見込めます。会社でオリジナルブランドを作り、年間売上高は以前の2億元(約32億円)から10億元(約160億円)に伸びました」。この4年間で、会社はアクセサリーの加工・卸売りから、オリジナルデザインの設計、生地加工、衣服生産、ブランド開発まで総合的なファッション企業に発展し、製品は国内の主要都市にとどまらず海外へも輸出されるようになった。

 企業のニーズをつかみ、産業チェーンを結合する。雲裳小鎮はブランドの開発、デザイナーの育成、新しいファッションの創造、海外を視野に入れたマーケティングなど、業界の人々のために肥沃(ひよく)な土地を開拓した。

「2017年に雲裳小鎮の運営を始めて以来、北京から3800店舗が移転してきました。北京、天津、河北省さらに全国のファッション産業への影響力をさらに高めるため、ハイレベルな独立デザイナーらを招き寄せるのが重要です」。雲裳小鎮運営会社の宋澗响(Song Jianxiang)副社長が話す。雲裳小鎮にはオリジナルデザイナーやオーダーメードを受けつける店舗が100店以上集まっている。また、中央民族大学や北京服装学院などの講師を招いて実践的な学習をしており、定期的にファッションショーを開催している。

 最新ファッションの拠点となっているこの地域が、実は人影のない荒れ地だったとは想像しがたい。永清県は伝統的な農業県だが、大都市や空港に近い地理的な利点を生かし、今や華北のファッション産業の拠点として飛躍している。

 現在、雲裳小鎮に関わる就業者は1万人近く、年間売上額は50億元(約800億円)を超え、これまでの納税額は2億6000万元(約41億6000万円)に達する。2018年には「国家級繊維業クリエーティブモデル地区」に指定され、現在は第二期拡張工事も進んでいる。かつて荒れ地だった永清県は服飾産業のプラットフォームとなり、服飾産業は地域経済の構造を転換する原動力となっている。(c)People’s Daily/AFPBB News