【1月29日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は、連邦議会襲撃事件をめぐり、同国史上かつてない2度目の弾劾裁判に直面している。米上院はトランプ氏を「反乱扇動」の罪で裁こうとしており、大統領の座を離れた同氏が米政界でどれだけ影響力を保てるかは不透明だった。

 しかし、最近の世論調査では、トランプ氏に対する共和党員の強い支持が示された。さらにこの1週間で、何人かの共和党議員がトランプ路線の継承や、少なくとも公にはトランプ氏と決別しない態度を示唆した。

 親トランプ派の共和党員らは今後数年間、大きな影響力を持つだろう。親トランプ派は、党の予備選に影響を与えることができるだけの人数がいる。仮にトランプ氏を追放して親トランプ派に見捨てられれば、共和党はひどく弱体化し、民主党との議会の主導権争いで不利になるだろう。

 共和党の元下院議員カルロス・カーベロ(Carlos Curbelo)氏は米MSNBCテレビの取材に対し、「(共和党内には)前大統領のうそに立ち向かってきた人々を粛清したいトランプ派と、トランプ派を粛清したいエスタブリッシュメント(既存支配層)派がいる」と語った。「今は明らかにトランプ派が優勢だ」

■下院共和党トップのトランプ氏詣で

 共和党の将来をめぐる綱引きが行われる中、トランプ氏は28日、下院共和党トップのケビン・マッカーシー(Kevin McCarthy)院内総務とフロリダ州で会談した。共和党の議会指導部は、前大統領との共同戦線をアピールしたいようだ。

 トランプ氏とつながる政治団体「セーブ・アメリカ(Save America)」によると、パームビーチ(Palm Beach)にトランプ氏が所有する高級リゾート施設「マーアーラゴ(Mar-a-Lago)」で行われた会談では、2022年中間選挙で民主党から下院を奪還することが主な議題となった。

 同団体は「トランプ前大統領の人気は今こそが最高潮で、彼の支持表明は、おそらくどの時代のどの支持表明よりも意味がある」と述べた。

 マッカーシー氏はトランプ氏の盟友で、大統領選で不正があったとするトランプ氏の根拠のない主張を支持していた。だが、トランプ氏が自らの支持者による米連邦議会議事堂への乱入をあおったと非難されてからは距離を置き、大統領選の勝者はジョー・バイデン(Joe Biden)氏で、1月6日の暴徒による議会襲撃の責任は、トランプ氏にあると明言していた。

 しかし28日、トランプ氏に再び恭順したマッカーシー氏は、欧州の宮殿のような豪華な部屋で、2人でにこやかに写真に収まった。

 マッカーシー氏は声明の中で、「きょう、トランプ前大統領は、2022年中間選挙で、共和党員の当選を支援すると約束した」と述べ、「(民主党は)今や私人となった前大統領を弾劾している」と非難した。

 さらに「団結した保守運動は国民の絆を強め、わが国の建国の礎である自由を守るだろう」と言い添えた。(c)AFP