中国で500万人の女性が貧困層から脱却 手工芸、農業、eコマースなど多様な活動
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【1月29日 People’s Daily】民家の中庭で刺しゅうにいそしむ十数人のミャオ族の女性たち。布の上に命が吹き込まれるように花や鳥、虫、魚などの模様が次々と姿を現す。中国湖南省(Hunan)湘西トゥチャ族ミャオ族自治州(Xiangxi Tujia and Miao Autonomous Prefecture)十八洞村に住む石順蓮(Shi Shunlian)さんの家では、女性たちの笑い声が響いている。
石さんは村の元党書記で、村婦女連合の代表を務める。2014年に党書記を退任した後、ミャオ族の刺しゅうを制作・販売するため農業組合を設立した。2017年2月までに村内136世帯すべてが貧困世帯リストから除外され、刺しゅう産業は村の年収の3分の1を占めるようになった。
中国政府は2012年以降、「脱貧困政策」を推し進める中で女性の参加と利益を特に重視してきた。貧困を抜け出し、その後も生活を安定させるには、産業を育成する必要がある。第13次5か年計画(2016~2020年)の期間中、中華全国婦女連合会は「女性の脱貧困運動」を展開。手工芸、養殖、家事サービス、電子商取引などを通じて500万人以上の女性が貧困層から脱却する手助けをした。
河南省(Henan)洛陽市(Luoyang)孟津県(Mengjin)では、ビジネスに精通した呂妙霞(Lu Miaoxia)さんが帰郷し、10ヘクタールの土地を購入。イチゴの生産基地を設立した。イチゴ基地はその後30か所以上、約2000ヘクタールに拡大し、5000人の雇用をもたらした。働き手の9割は女性だ。
甘粛省(Gansu)張掖市(Zhangye)山丹県(Shandan)の服飾製造会社にある「女性の脱貧困工場」では、数十台のミシンが整然と並び、リズミカルな音を立てながら衣服を作っている。女性の貧困救済を目的とした工場は中国各地に1万か所以上あり、女性たちの収入や待遇改善につながっている。
広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)欽州市(Qinzhou)霊山県(Lingshan)では、甘有琴(Gan Youqin)さんがインターネットの「インフルエンサー」として活躍している。2019年、彼女はネット上のライブ販売を通じて地元の農産品6000トンを販売し、売上額は3700万元(約5億9200万円)に上った。
中華全国婦女連合会は「女傑eコマース」「母親eコマース」などの電子商取引プロジェクトを推し進め、約50万人の貧困層の女性を新しいビジネスに導き、増収をもたらしている。
この数年、中華全国婦女連合会は3930万元(約6億2880万円)を投入し、全国786か所に「全国女性貧困解消モデル地区」を創設。各地の婦女連合会が女性のためにつくった活動拠点も2万か所に上る。女性が創設・主導した家庭農場や各種農業組合は30万か所に達し、各地の女性に活力を与えている。(c)People’s Daily/AFPBB News