【1月29日 AFP】米ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)で、新型コロナワクチンの配送を請け負っていた学生ベンチャー企業の最高経営責任者(CEO)が、友人にワクチンを接種していたことが発覚し、接種計画の遅れにいら立つ米世論の怒りを買っている。

 問題が発覚したのは、フィラデルフィア市当局から新型コロナワクチンの市内配送を請け負っている企業「フィリー・ファイティング・コービッド(Philly Fighting Covid)」。

 アンドレイ・ドロシン(Andrei Doroshin)CEO(22)が昨年立ち上げた同社は、ワクチンの臨床試験に参加したり、今年に入りフィラデルフィア市初の大規模な接種センターを設立したりするなど、同市の新型コロナとの闘いで大きな役割を果たしてきた。同社の接種事業ではこれまでに、優先接種対象者とされている最前線の医療従事者を中心に7000人近くが新型コロナワクチンの接種を受けている。

 そうした中、ドロシン氏は28日、自宅で友人4人に新型コロナワクチンを接種したことを認めた。ドロシン氏は看護師の資格を持っていない。

 この件についてドロシン氏は、友人に接種したワクチンは期限切れ寸前で、同氏のチームがハイリスク・グループに該当する人で他に接種できそうな人を探したが見つからなかったと釈明した。

 ドロシン氏は米NBCテレビに対し、「決定は自分に責任がある。自分が間違いを起こしたことは理解している。これは私がこれからの人生ずっと背負っていくことになる自らの過ちだ。だが、組織としての過ちではない」と語った。

 フィラデルフィア市当局は、私利私欲を目的とする団体と化した同社との契約を解除した。

 新型コロナワクチンの接種について、米国の大半の州では、ウイルスへの暴露の危険性が最も高い労働者や、65歳以上の高齢者を優先対象としている。

 現在接種が行われているワクチンは、一度開封すると有効期限が短い。

 オレゴン州では米製薬大手モデルナ(Moderna)製のワクチンを運搬していた車両が吹雪で立ち往生し、ワクチンの有効期限内に到着できないことをさとった医療従事者が、同じく立ち往生していた車のドライバー6人にそれを接種したとの報道もある。(c)AFP