【2月13日 AFP】ベルギーの建築家でアールヌーボーの巨匠、ビクトール・オルタ(Victor Horta)が設計した「ソルベイ邸(Hotel Solvay)」の一般公開が開始された。

 ソルベイ邸は2000年代初頭、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録された。

 ブリュッセル首都圏地域の文化遺産相、パスカル・スメット(Pascal Smet)氏は「コロナ禍の今、この完璧に美しい空間でリラックスしたひと時を過ごせるということは、なおさら意味を持ちます」と語った。

 3階建ての邸宅は、1895年から1903年にかけて建築されたもの。実業家のエルンスト・ソルベイ(Ernest Solvay)の息子のために、当時華やいでいたルイーズ通り(Avenue Louise)に建てられた。

 1930年に最初の所有者が亡くなってからのソルベイ邸には、波乱に満ちた歴史がある。

 第2次世界大戦(World War II)中には、ドイツの空爆で損壊した。1950年代後半、高級服メーカーを営む夫婦がソルベイ邸を購入し、工房とした。

 当時のブリュッセルは土地開発業者が思うがままにしており、ルイーズ通りはオフィスビルにのみ込まれつつあった。夫婦の孫で、現在の所有者のアレクサンドル・ビタメール(Alexandre Wittamer)氏(43)によると、アールヌーボーの名建築であるソルベイ邸でさえ開発に脅かされたという。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の影響で現在、仏パリや英ロンドンでは美術館が閉鎖されているが、ベルギーの美術館は公開されている。ソルベイ邸は当面、木曜日と土曜日に一般公開される。(c)AFP/Matthieu DEMEESTERE