【1月28日 AFP】新型コロナウイルス対策でさまざまな経済活動が規制されている中でのスキー場の営業継続をめぐって国民の怒りが広がっているオーストリアで、外国人が「抜け穴」を利用してスキー旅行に訪れ、パーティーを楽しんでいると地元村長が27日、AFPに語った。

 西部チロル(Tyrol)州のスキーリゾート、ザンクトアントン(St Anton)のヘルムート・マル(Helmut Mall)村長は、外国人がパーティーを開いて「酒を飲み、近隣住民の通報を受けて警察が介入することがしばしばある」と述べた。外国人の入国は政府が厳しく制限しているが、ザンクトアントンには主に英国や北欧からの旅行客200人ほどが訪れており、納屋や民家で宴会を開く人々もいるという。

 チロル州政府の報道官は、「規制を強化しているが、すでに現地に滞在している人たちに対してわれわれができることはあまりない」と述べた。

 オーストリアの2大スキーリゾートであるザンクトアントンとイシュグル(Ischgl)では昨年3月、45か国からの観光客6000人以上が新型コロナに感染する騒ぎがあった。それにもかかわらず、国内各地のスキー場はクリスマスの頃に、国内旅行者向けに営業を再開。オーストリア政府は、スキーはアウトドアスポーツであり安全だと主張している。

 マル村長によるとチロル州では、営業規制で閉鎖中のレストランやホテルでの仕事を探す外国人の在留登録数が急増している。求職者として在留登録することで外国人は合法的にアパートなどを借りることが可能となり、これが入国制限の要件をかいくぐる「抜け穴」となっているという。たとえば、人口2600人の村に、連日20件もの求職者登録があるという。

「私たちの村は封鎖下にある。オーストリアも、世界全体も封鎖状態だ。それなのに、ここ(村)の通りでは見慣れない顔や集団に会う」とマル村長は話した。「日に日に増えている。彼らは皆、ここで何をしているんだ?」

 現在のところ、ザンクトアントンで感染者は一人も出ていない。だが、マル村長は旅行客が新型コロナの変異株を持ち込む恐れがあると警戒している。

 国内ではすでに、ザルツブルク(Salzburg)州のスキー場1か所を起源とする少なくとも76人の集団感染が起きているほか、チロル州ツィラータール(Zillertal)のスキー場従業員16人が感染し、高齢者施設への感染拡大につながった可能性が指摘されている。(c)AFP