【1月29日 AFP】男性優位社会として知られるインドの農村部で今、何千人もの女性たちが抗議活動の中心となっている。首都ニューデリーに続く道路を封鎖する農民のデモは、政権に対する大きな挑戦だ。

 あらゆる職業、年齢の女性が、政府に対し農業市場改革の撤廃を求めている。厳しい冬の寒さに耐え声を上げる彼女らは、畜牛の世話係、畑作労働者、都会の専門職従事者、そして車いすの高齢者などさまざまだ。

「自分の子どもや孫のために闘っている」と語るパーミンダ・カウル(Parminder Kaur)さん(40)。夜には、数万人のデモ参加者が食べる薄焼きパンのチャパティやカレーの用意も手伝う。

 女性たちは伝統的に黙々とインドの農業を支えてきたが、その働きに見合う影響力を持たなかった。そして貧困、差別、家庭内暴力に苦しんでいることが、繰り返し調査で明らかになっている。

 国際NGO「オックスファム(Oxfam)」によると、インド農村部の女性の約85%が何らかの農業活動に従事しているが、自ら土地を所有しているのはわずか13%だ。

 麦や米など農作物はこれまで数十年にわたり、州管轄の市場を経由して売られ、最低価格が保証されていた。それが新法により、農家は作物を自由市場で取引できるようになった。

 ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相は、改革は農業部門に待望の投資を呼び込むと主張する。農業はインド人口13億のうちおよそ3分の2を雇用しているが、同国経済への寄与率はわずか15%程度である。

 一方、農民の指導者らは、改革により農業ビジネスが国内のコングロマリット(複合企業)に乗っ取られると主張している。

 カウルさん一家は約8000平方メートルの土地を所有し、麦を耕作している。「この土地が私たちにとってすべて。母親のようなものです」と彼女はいう。「母親を奪おうとするなんて、許せるわけがありません」