【1月27日 AFP】アフリカ南部の内陸国ジンバブエで25日、閣僚4人が新型コロナウイルスに感染して死亡したのは医師らによる「政治的暗殺」だと主張し、激しい批判にさらされていた高官が発言を撤回し、謝罪した。

 情報省のニック・マングワナ(Nick Mangwana)事務次官は24日、「(公立病院の医師らは)医師免許を隠れみのにした政治的暗殺者だ」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 ジンバブエの脆弱(ぜいじゃく)な医療体制が新型ウイルスの猛威にさらされる中、これまでに与党・ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU-PF)に属する閣僚4人と大勢の官僚が新型ウイルスに感染して死亡している。

 同国では、これまでに3万2000人近くの感染が確認され、うち1000人以上が死亡した。

 ジンバブエ人権のための医師会(ZADHR)は、マングワナ氏の発言は「医師に対する継続的な迫害」につながり、医療業界を危うくする恐れがあると非難した。

 こうした批判を受けて、マングワナ氏は25日、問題の投稿を削除した上で、「発言を撤回し、気分を害された方々に謝罪する」とツイートした。

 ZADHRのノーマン・マララ(Norman Marara)氏はAFPに対し、謝罪は受け入れるが「十分ではない」と語った。「政府は私たちの努力を、この新型コロナウイルス危機の最前線で医療従事者らが果たしている積極的な役割を、称賛する姿勢を示さなければならない」

 ジンバブエの国民は、経済を押し上げるという公約を果たせないエマーソン・ムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa)政権への怒りを募らせており、その新型ウイルス対応への不満も高まっている。

 公立病院は、外貨で調達している薬品などの物資不足に苦しみ、大勢の一流の医師や看護師は、国外で働いている。

 政権に不満を持つ人々は、政府関係者らも苦境に立たされている国内医療をじかに体験せざるを得ないとして、新型ウイルス対策として導入された出入国制限を歓迎している。(c)AFP