【1月27日 AFP】カナダの首都オタワの住民らが、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領と距離を置こうとしている。トランプ氏にあやかって名付けた通りを、改称しようとしているのだ。トランプ氏の名を冠した通りはかつて話の種だったが、今となっては恥でしかない。

 オタワ西部のセントラルパーク(Central Park)地区にあるトランプ通り(トランプアベニュー、Trump Avenue)。両脇に並ぶれんが造りの家々にはそれぞれ2台分の車庫があり、車寄せでは子どもたちがホッケーをして遊んでいる。

 1990年代後半に造成されたセントラルパーク地区は、ニューヨークにちなんだ名前の通りで知られている。政界入りした不動産王にちなんだ通りだけでなく、マディソン・パーク(Madison Park)やブルーミングデールストリート(Bloomingdale Street)、マンハッタンクレセント(Manhattan Crescent)、スタテンウエー(Staten Way)などもある。

 ボニー・バウリング(Bonnie Bowering)さんは、2008年に同地区に引っ越してきた。「以前は、トランプ通りに住んでいると言って、『そう、あのドナルド』と付け加えると、作り笑いが返ってきた。同情されることもあった」とバウリングさん。

 バウリングさんは、「しかし、彼が民主主義をむしばみ、暴動、つまり米連邦議会議事堂への激しい攻撃を扇動した今となっては、 私たちの通りの名前を変えるべき」と主張した。「トランプ氏は名前にあやかるに値しないし、カナダの首都に彼にちなんで名付けられた通りがあるのは不適切だと思う」

 オタワの市議会議員、ライリー・ブロキントン(Riley Brockington)氏は今週、通りに住む人々から名称変更への支持を取り付け始めた。

 一部の住民は何年も前から市に改称を請願していたが、ブロキントン氏が抵抗していた。在任中のトランプ氏を怒らせることを恐れていたためだという。

 ブロキントン氏は、「カナダに対する影響を懸念していた。トランプ氏が懲罰的な対抗措置を取るかもしれないと思っていた」と語った。

 しかし、「トランプ氏がホワイトハウス(White House)からいなくなった今が、(改称を)試みる頃合いだと感じている」とブロキントン氏は述べた。

 通りの改称には少なくとも50%の住民の同意が必要な上、変更手続きには数か月かかる。(c)AFP/Michel COMTE