「宣伝」は必要ない ナダル、隔離問題でジョコを暗にけん制
このニュースをシェア
【1月27日 AFP】男子テニスのラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)が26日、他選手に救いの手を差し伸べていることを「宣伝」しなくてはならないとは限らないとコメントした。隔離中の選手が全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament 2021)に向けて十分な準備ができるよう訴えた、ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)を意識したコメントとみられる。
先日、現地入りしたチャーター機の同乗者に新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示した人がいたため、選手72人がホテルの部屋での完全隔離を強いられると、ジョコビッチはその選手たちを代理してオーストラリアテニス協会(Tennis Australia)に提案書を提出した。提案書には、テニスコート付きの私邸に選手を移すこと、食事の質を改善することなどが記されていたと伝えられている。
しかし協会はこれを聞き入れず、メディアは隔離中の選手たちを短気で身勝手な人間だと報じた。さらに同国のスター、ニック・キリオス(Nick Kyrgios)からも非難されたジョコビッチは、「メルボルンにいる仲間に対する善意が誤解されている」と釈明しなくてはならなかった。
こうした中で、ジョコビッチと同じアデレード(Adelaide)で2月8日からの全豪オープンに備えているナダルは、米スポーツ専門チャンネルESPNに対して「みんなが助け合っている」と話し、「中にはその取り組みの全てを公表せずにはいられない人もいるが、何もかも公開したり、宣伝したりはせず、黙って進める人もいる」と、ジョコビッチを意識したと思われるコメントを残した。
全豪に出場する選手のほとんどは、メルボルンで14日間の隔離義務を消化中だが、ナダルやジョコビッチ、大坂なおみ(Naomi Osaka)、セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)らは、29日のエキシビション大会に出場するためアデレードから現地入りした。これが、一部のスーパースターが優遇されているとの不満を生んでいる。
ナダルは「メルボルンにいるほとんどの選手よりも、アデレードの方が条件は良かっただろう」と比較的スムーズに過ごせたことを認めつつ、次のように話している。
「しかし、メルボルンでも広めの部屋を割り当てられて、強度の高い運動ができる選手もいれば、部屋が狭くてコーチやフィジカルトレーナーと会えない選手もいる」
「どこにその線引きがあるかは、倫理的な問題だ。誰もが自分なりの意見を持っていて、その全てが尊重すべきものだ」 (c)AFP
