【1月27日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)は26日、「安全で安心」な東京五輪の実施に向けた決意を示し、参加者にはワクチンの接種を勧める一方、ワクチンは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の「道具」の一つでしかないと話した。

 IOCは27日に理事会の開催を控えており、そこでは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の第1波を受けて延期になった東京五輪も議題になる。

 前回の理事会後、IOCは米国がファイザー(Pfizer)製のワクチンを承認した昨年12月12日に声明を出し、五輪開催に「全力を尽くす」意向を示したが、その後に複数の変異株が見つかり、さらにワクチンの世界的な供給も滞る中で、五輪開催の実現性、またワクチン待ちの列に参加者を「横入り」させることの是非をめぐる議論が過熱している。

 IOCのトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は、「ワクチン接種の義務化も、選手の優先接種もない」と話している。またフランスオリンピック委員会のドゥニ・マセグリア(Denis Masseglia)会長は、「法的な理由」から接種の義務化は望んだとしても難しいと明かした。

 声明でIOCは、ワクチンは「義務化しない」と繰り返す一方、「選手と関係者には、渡日前に自国でワクチン接種を受けるよう促し、そのための支援をしていく」と話している。IOCは「これは安全な五輪の環境をつくり出すためだが、同時に日本国民を尊重した対応でもある」と述べている。

 また「ワクチンは道具箱にある数多くの道具の一つで、適切なタイミングをみて適切に使う必要がある」と選手の優先的な接種は望んでいないことも入念に強調している。

 他の対策には「入国手続きや隔離措置、検査、個人防護具(PPE)、接触追跡」などが含まれるというが、ワクチンを受けず、それらの対策をもって東京に渡ることを選手がためらう可能性がある。IOCは「感染すると危険な人々、医師と看護師、安全な社会の維持に従事する人たちを優先する体制を、引き続き強力にサポートしていく」と話している。(c)AFP