【1月26日 AFP】イスラエルで新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に反対するユダヤ教超正統派のデモ隊が治安部隊と衝突し、バスに放火した件で、ベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は25日、警察の対応を称賛した。

 ネタニヤフ首相はワクチン接種センターを訪問した際、「警察は実力を行使した。法律を尊重しない者に対してはそうすべきだ」と語った。

 24日夜、テルアビブ近郊のブニブラック(Bnei Brak)やエルサレム(Jerusalem)のメアシェアリーム(Mea Shearim)などを含む超正統派地区で、ロックダウンに抗議する住民たちと治安部隊が衝突。バスが放火された。

 放火されたバスの運転手によると、約50人がごみ箱やタイヤで道路を封鎖し、石を投げたり、窓ガラスを割ったりしてバスを襲ったという。消火しようとした消防隊員らも、石を投げつけられたと述べている。

 警察は、「騒乱」によって「救急要員や一般市民の命を危険にさらした」として、ブニブラック地区の住民10人を逮捕したと発表。現地のAFP記者によると、ブニブラック地区は、25日午後までに平穏を取り戻した。

 警察によると、超正統派の住民が多いエルサレム近郊のベトシュメシュ(Beit Shemesh)でも24日、ロックダウンにもかかわらず開校していた学校を閉鎖しようとした警官3人が負傷。3人を逮捕した。

 セファルディ系ユダヤ人の最高位のラビ(ユダヤ教の宗教指導者)、イツハク・ヨセフ(Yitzhak Yossef)師は超正統派教徒らの暴力を非難すると同時に、警察に対しても「自制」を求めた。

 イスラエルの人口約850万人に占める超正統派教徒の割合は約12%だが、多くのイスラエル人は、新型コロナの感染拡大に圧倒的に責任があるのは超正統派教徒だと責めている。

 同国は昨年12月下旬から、3度目となるロックダウンを実施しているにもかかわらず、ブニブラック地区では1週間前に結婚式が行われ、数百人の招待客が出席した。

 イスラエルの新型コロナの累計感染者数は60万5000人を超え、うち4478人が死亡している。(c)AFP