【1月25日 AFP】台湾当局は25日、昨年領海内で違法に海砂を採取していたとして駆逐した中国船舶が、前年比で6倍以上増の4000隻近くに上ったと発表した。中国は台湾に対する圧力を強めている。

 台湾の沿岸警備隊が同日AFPに明かしたところによると、領海内に不法侵入する中国の浚渫(しゅんせつ)船の数が近年急増。2018年に71隻、19年には600隻だったが、2020年は11月までに3969隻を追い払ったという。

 中国は、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権下で米台関係が劇的に友好的になったことに激怒。さらに先週執り行われたジョー・バイデン(Joe Biden)大統領の就任式には、事実上の駐米台湾大使が招待された。この就任式後に、中国は台湾の防空識別圏内に複数の爆撃機や戦闘機を出動させた。

 これを受けてバイデン政権は、台湾について初のコメントを出し、台湾を「威嚇する試み」は、米国の台湾に対する「強固な支持」を揺るがすことはできないと警告した。

 また同日には、米軍の空母艦隊が「航行の自由作戦(Freedom of Navigation Operations)」の一環で、南シナ海(South China Sea)を通行した。

 中国は以前から、沿岸警備隊の支援を受けた民間船を用いて、係争水域内の領有権を強調し、他国の船への嫌がらせを行ってきた。アナリストらはこれを「グレーゾーン」戦術と呼んでいる。

 南シナ海で中国が環礁や島々に軍事施設を建設する際にも、漁船や浚渫船が用いられてきた。(c)AFP/Amber WANG