【1月27日 東方新報】中国の人気女優・鄭爽(Zheng Shuang)氏が極秘に2人の子どもを代理出産させ、さらに養育を放棄している疑いが浮上し、中国で大きな話題となっている。中国当局はすぐに「代理出産は違法行為だ」と声明を発表。芸能スキャンダルにとどまらず、社会問題に発展している。

 鄭爽氏は2009年、日本の『花より男子』の中国版ドラマ『一起来看流星雨(英題:Let's Watch The Meteor Shower)』でヒロイン役を演じて一躍ブレーク。「1990年代生まれの四大女優」の1人に数えられた。その後も多くのテレビドラマなどで主役を務め、ソーシャルメディアでは約1200万人のフォロワーを持つ。

 騒動の発端は今月18日、鄭爽氏の元交際相手で米国に長期滞在している張恒(Zhang Heng)氏が「幼く罪のない2つの命のため、私は米国を放れられない」と中国版ツイッター・微博(ウェイボー、Weibo)で明かした。それをきっかけに中国メディアは2人の子どもの出生証明書を掲載。2人は2019年後半と2020年前半に別々の女性から生まれ、母親は鄭爽氏と明記されていた。インターネットに流出した録音では鄭爽氏とされる女性が、代理出産の子どもが時期的に中絶できず不満を述べている会話も伝えられた。

 約1週間前に鄭爽氏をキャンペーンに起用すると発表したばかりのファッションブランドのプラダ(Prada)は19日、鄭爽氏との契約を破棄すると表明。他の契約企業も追随した。鄭爽氏が出演する映画・テレビの制作・放映も延期する流れとなっている。鄭爽氏は19日、ソーシャルメディアで「私はすべての法律を順守している」「個人的なことであり、非常に傷ついている」と釈明したが、インターネット上では非難の声が相次いでいる。

 この騒動に対し、中国中央テレビ(CCTV)は「政府は代理出産を禁じている。代理出産と養育放棄は公序良俗に反する」と報道。中国政府は2001年に代理出産を禁止している。海外の代理出産を罰することは法的に難しいが、中国共産党中央委員会は公式アカウントで「法律の抜け道を使うのは、中国人としての法律を順守していない」とコメントを出した。

 中国では昨年12月も、『さらば、わが愛/覇王別姫(Farewell My Concubine)』『空海-KU-KAI-』などの作品で有名なチェン・カイコー(Kaige Chen)監督が代理出産をテーマにした短編映画『宝貝児(Baby)』が、「代理出産に対して温情的で擁護している」と批判を浴びた。

 これだけ代理出産が物議を醸すのは、実際には代理出産が後を絶たず、表面化する事例は「氷山の一角」にすぎないためだ。

 インターネットでは、非公式に代理出産を受け付けるサイトがいくつも存在する。ある中国メディアの記者が顧客を装って電話で問い合わせると、スタッフは「上海市、広州市(Guangzhou)、長沙市(Changsha)、武漢市(Wuhan)の4か所で業務を請け負っております。価格、サービスはさまざまでして、65万元(約1041万円)払っていただければ2年以内は何度も卵子を提供します。代理母が大量出血や子宮の切除などが起きた場合、顧客に70%の責任が生じますが、5万元(約80万円)を追加していただければすべて免責されます」とセールストークを展開した。代理出産はタイやカンボジアで行っており、「現地の病院と正式に契約を交わしており、中国と現地国双方の法律を順守しております」と答えたという。香港メディアの報道によるとウクライナも人気で、同国で行われる年間2500~3000人の代理出産のうち3分の1は中国人が〝顧客〟という。

 代理出産は国内でも水面下で行われている。一部の大学や病院、高速鉄道の女子トイレなどには「卵子の提供者募集」「10日間で3万元(約48万円)」などの小さな募集広告が張られているという。卵子が取り出しやすく、ある程度の報酬で募集に応じる若者がターゲットで、トラブルもつきまとう。最近では広州市で、自分の卵子を1万5000元(約24万円)で売ることにした17歳の女性が、卵巣から卵子を取り出す際に卵巣が破裂する重傷を負ったと報道された。

 中国人民大学法学院の石佳友(Shi Jiayou)教授は「不妊症や高齢で子どもを望めない人、子どもを失った人、出産を望まず子どもが欲しい人など、常に需要があるため代理出産も後を絶たない」と指摘。「一刻も早く法の抜け穴を埋めなければいけないが、その上で、あらゆる代理出産を禁止するのか、親族間で無償による代理出産といったケースは認めるかなど、根本的な議論も必要だ」と話している。(c)東方新報/AFPBB News