【2月3日 AFP】その顔は不明瞭で不気味だが、なでつけられた金髪とネクタイを見れば、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領であることは明らかだ。そんな肖像画をスタジオを埋め尽くすほどに描いたのはイスラエルの画家、イド・マーカス(Iddo Markus)さんだ。

「まず、私は彼が嫌いだというところから始めましょう」。短くそろえたひげと、物事を見通すような黒い瞳が印象的なマーカスさんはそう強調しつつも、今や「悲劇の人物」となったトランプ氏にひき付けられていると語る。

 北部の港湾都市ハイファ(Haifa)にあるマーカスさんのスタジオは、壁も床もトランプ氏の肖像画だらけだ。

 大富豪のトランプ氏が2016年の米大統領選への出馬を発表した時、マーカスさんは「信じられなかった」と言う。そして同氏が大統領になると、少数派の人々の扱いに恐怖を感じ、「嫌悪感」さえ覚えた。

 しかし、この「オレンジの顔と黄色い頭」の男から目を離すことはできなかった。最初の1枚は短時間で仕上げた。その後、120枚前後のトランプ氏の油絵を描いた。

 描かれた男の顔はゆがめられているが、シルエットで一目で誰だか分かる。

「描くためにドラマは必要としない」というマーカスさん。「戦争も、愛も必要ない。(中略)ただ『旅』が必要だ」

 そしてトランプ氏を描くことは「興味深い旅だった」という。(c)AFP/Claire Gounon