【1月26日 People’s Daily】「ブー」という音と共に、手持ちの端末が断線警報を伝えた。張嫦秋(Zhang Changqiu)さんは小型電動車に乗り、すぐに紡織設備の前まで来て、断糸をつなぎ合わせた。広々とした達利シルク(中国・浙江省)有限会社のスマート作業場には、従業員は張さん一人しかおらず、彼女が列ごとに並んでいる回転紡錘機を「指揮」している。

「以前は、紡織作業場内の従業員が大勢いて、労働は厳しかった。今は、作業場には、昼間は、従業員一人で十分で、夜の当直者もいない。紡錘の糸が切れても、設備は自動的に停止するので、昼間に点検すればいい」と、張さんは感慨深げに言った。今になって紡織女性従業員の仕事がこれほど楽にできるようになるとは思わなかった。スマート化改造は、達利シルクに労働力の節約、労働環境の緩和、生産効率と安定性の向上をもたらした。2020年はコロナの影響を受けた一年だったが、達利シルクの生産額は20%以上増加する見込みだ。

 浙江省(Zhejiang)の山の中にある新昌県(Xinchang)では、地域のGDPはずっと浙江省の県市の中で下位にランクされてきた。近年、紡織、冷却部品、自動車部品、カプセルなど多くの業界の発展により、生産ラインのスマート化改造が推進され、製造業にデジタルの「羽」を与え、全国の「トップ100県」までのし上がってきた。

「最初はあまり気にしていなかったが、改造後の効果は大きいとわかった」。改造企業の第一陣の普祐機電科技有限公司で、黄永龍(Huang Yonglong) 社長は、改造前は、会社の多くの指標は「大体の見当」にすぎなかったと記者に伝えた。例えば、設備が故障すると、出荷は遅くなる。作業場では部品を数える方法で効率を計算していたが、10分ごとか、30分ごとに一度に計算してみるといった具合だった。しかし、今は、従業員がパソコンに表示されている生産ラインを一瞥(いちべつ)すれば、設備の利用率は一目瞭然だ。一つの部品の生産時間はわずか2.5秒、生産効率は大幅にアップした。

「中小企業の広範囲でのスマート化の普及の可否は、全県の工業のモデルチェンジとバージョンアップの効果に直結してくる」。中国共産党新昌県委員会の李寧(Li Ning)書記は記者にいくつかのデータを教えてくれた。2019年、新昌の工業化と情報化の「二化」融合指数は98.77、デジタル経済発展総合評価指数は90.3、省レベル工業ネットワークモデル事業に選ばれた。中小企業をサービス対象として成長してきた3社の工業ネットワークプラットフォームは、浙江省の省レベル工業ネットワークプラットフォームリストに入選。2020年第1〜3四半期(1月〜9月)、全県の工業経済は逆境を乗り越え成長を実現し、ハイテク産業の増加値は規模以上の工業増加値の89.76%を占め、規模以上の工業デジタル経済核心産業の増加値は12.33億元に達した。

 実績の裏にはイノベーションへの絶え間ない投資がある。調査によると、新昌県の研究開発投資がGDPに占める割合は、すでに5年連続で4%を超えている。1万人あたりの特許保有量は60件に達している。科学技術の進歩による経済発展への貢献率は常に70%以上を維持している。近年、新昌県は国際的な視野を持つ専門技術チームと管理チームを招へいし、科学技術の実力は着実に向上している。(c)People’s Daily/AFPBB News