【3月10日 AFP】周冠宇(Zhou Guanyu、チョウ・グアンユー)はかつて、おもちゃの車で遊び、中国初のフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)ドライバーを夢見る少年だった。そして今、21歳となった青年は夢の実現に迫っている。

 上海生まれの周は、昨季はフォーミュラ2(F2、FIA F2選手権)を戦いながら、F1でルノー(Renault)のテストドライバーも務めた。いずれF1デビューを飾ると広くうわさされ、中国でのF1人気にも大きく影響を及ぼしそうな人材だ。

 AFPの取材に対して、周は「4歳か5歳の頃にはもう、車のおもちゃが大好きで、いつも誕生日プレゼントにもらっていた」と語った。

「それから7歳のある日、屋内カートサーキットへ行って、そこで初めて本物のゴーカートに乗った」

「そして初めて運転してみて、すっかりとりこになった」

 軽いヨークシャー(Yorkshire)なまりの流ちょうな英語を話す周は、その後の2012年、所属するカートチームの拠点がある英イングランド中部のシェフィールド(Sheffield)へ移住した。

 現在は一時的に上海に戻っている周は、当時について「まだ英語があまりしゃべれず、(中国の)学校の授業で習う英語と、実際に本物の人間と実生活の中で話すのとではまるで別だった」と話す。「だから自分にとっては全てが真っ白で、何も分からないし、授業についていくのは大変だった」

 その後フェラーリ(Ferrari)の目に留まり、名高いチームのアカデミーで2014年から2018年まで過ごすと、翌年にはルノーのアカデミーへ入り、F1チームの開発ドライバーに指名された。

 2019年には、ユニ・ヴィルトゥオーシ・レーシング(UNI-Virtuosi Racing)から初参戦したF2で、新人最高位の年間7位に食い込み、昨年は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)でカレンダーが大きく乱れる中、短期決戦となったロシア・ソチ(Sochi)でのレースで初優勝を飾った。

 さらに年末には、若手ドライバーを集めたシーズン後のテストに参加。そこで憧れの選手の一人で、総合優勝2回の経験を持つフェルナンド・アロンソ(Fernando Alonso)と同じガレージで過ごした。