【1月25日 AFP】(更新)ニュージーランドのクリス・ヒプキンス(Chris Hipkins)保健相は25日、国内で約2か月ぶりに新型コロナウイルスの市中感染が起き、南アフリカで発見された変異株と確認されたと発表した。変異株に感染したのは最近欧州から帰国した女性(56)で、帰国者の隔離用ホテルで感染した可能性が高いとしている。

 女性は、スペインとオランダを中心に欧州で4か月間過ごした後、昨年12月30日に帰国。2週間の隔離期間を終え、今月13日にオークランド(Auckland)にある隔離用ホテルを出た。陽性と診断されたのは、その10日後の23日だった。

 女性が隔離用ホテルを出る2日前に、ホテルの同じフロアに滞在していた別の帰国者が陽性判定を受けており、この帰国者から感染した可能性が高いという。

 アシュリー・ブルームフィールド(Ashley Bloomfield)保健局長官によれば、女性の隔離期間中の検査結果は2回とも陰性だった。

 女性は隔離終了後、夫とニュージーランド北島の最北端にあるノースランド(Northland)地方を数日間旅行していた。検査を受ける数日前から症状が出ており、ウイルスを人にうつす恐れがある時期に約30か所を訪れていたという。夫を含む濃厚接触者2人は、陰性と確認された。

 ブルームフィールド氏は、女性が呼吸器系の症状を訴えておらず、筋肉痛が主な症状だったため濃厚接触者への二次感染が起きなかった可能性に言及。ただし、これは南アフリカ変異株の特徴というわけではなく、たまたまこの女性はそうだっただけだとの見方を示した。

 ニュージーランドでの市中感染は、昨年11月18日以来。帰国者が隔離施設を出た後に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症したのは、2回目となる。1回目は、昨年8月にインドから帰国した男性が、隔離施設で2回の陰性判定を受け、隔離期間を終えた5日後に発症していた。

 人口500万人のニュージーランドの新型コロナウイルス感染者数は累計1927人、死者はわずか25人で、その感染拡大防止対策は高く評価されている。(c)AFP