【1月25日 AFP】ドイツのイェンス・シュパーン(Jens Spahn)保健相は24日、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が新型コロナウイルス治療のために昨年受けた抗体治療について、国内での使用を始めると発表した。欧州規制当局は未承認としており、欧州連合(EU)加盟国として初の導入となるという。

 シュパーン氏は独紙ビルト日曜版(Bild am Sonntag)に対し、「政府は20万回分を4億ユーロ(約500億円)で購入した」と明らかにした。1回分2000ユーロ(約25万円)となる計算だ。独保健省の報道官はAFPに対し、新型ウイルス患者は無料で抗体療法を受けることになると述べている。「モノクローナル抗体治療」といわれる2種類の治療が来週から同国の複数の大学病院で受けられるようになる。

 独保健省の報道官によると、ドイツが購入したのは、米リジェネロン・ファーマシューティカルズ(Regeneron Pharmaceuticals)開発の「カシリビマブ(Casirivimab)」と「イムデビマブ(Imdevimab)」という抗体を組み合わせた抗体カクテルと、米製薬大手イーライリリー(Eli Lilly)の抗体薬「バムラニビマブ(Bamlanivimab)」の2種類。

 これらはいずれも米国で緊急使用が許可されているが、欧州の各規制当局からは承認されていない。独保健省の報道官によれば、同国の規制当局ポール・エーリッヒ研究所(Paul Ehrlich InstitutePIE)は、これらの抗体薬について「特定のリスクグループの重症化や入院」を防ぐ目的で、「原則として」医師による個別の判断の上、使用を許可すると決定した。

 トランプ氏は米大統領だった昨年10月、新型ウイルスに感染し短期間入院。正式に使用許可が出る前段階で、リジェネロン開発の抗体治療を受けていた。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK