【1月26日 AFP】弾劾は、米国の大統領を罷免するのにまれに取られる方法だ。

 合衆国憲法によると、大統領が反逆罪、贈収賄罪、その他の重罪・軽罪を犯したと議員らが判断した場合、2段階で弾劾手続きが開始される。

 まず、下院で弾劾訴追決議案の採決が行われる。可決には単純過半数の賛成票が必要となる。可決されると、上院の弾劾裁判に持ち込まれる。

 弾劾裁判で大統領が有罪になるには、上院100議席中、3分の2の賛成票が必要となる。それだけの票が集まると、大統領は自動的に罷免され、上訴できる可能性はない。

 弾劾手続きで罷免となった米国の大統領はいない。下院で弾劾訴追された大統領は2人いるが、いずれも最終的に上院で無罪となっている。1868年のアンドリュー・ジョンソン(Andrew Johnson)元大統領、1998年のビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領だ。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は、2019年に弾劾訴追され、2020年初めに無罪判決が下されたものの、2021年に再び訴追された。弾劾手続きを2度受けた大統領は、トランプ氏が初めてだ。

 リチャード・ニクソン(Richard Nixon)元大統領は、「ウォーターゲート事件(Watergate)」への関与をめぐる議会での弾劾訴追を避けるため、1974年に辞任した。

 重大な不正行為に及んだと疑われる連邦政府職員はいずれも、議会から弾劾訴追される可能性がある。(c)AFP