【1月22日 AFP】暗闇で光るウサギの耳、低音で響くビート、フレキシブルなマスク着用規則──新型コロナウイルスの感染拡大対策で、ロックダウン(都市封鎖)が実施されてから約1年がたった中国・武漢(Wuhan)で今、生活が滞ったことに対する復讐(ふくしゅう)をするかのようにナイトライフが盛り上がっている。

 世界の多くの国では今もロックダウンが実施されており、感染者数も急増している。一方、かつて新型コロナ流行の中心地だった人口1100万人の武漢に住む若者たちは、ようやく手にした自由を享受している。

 武漢中心部にある巨大なナイトクラブ「スーパーモンキー(Super Monkey)」には、ドレスコードもVIPリストもない。入場する際にマスクを着用し、検温を受ければ誰でも入ることができる。ただし、37.3度以上の熱があれば用心棒に追い払われる。

 中に入ると、爆音でテクノ音楽が鳴り響き、レーザーの光が飛び交う中、人々はダンスフロアで思い思いに過ごしている。

 ここでは、規則が必ずしも厳格に守られているわけではない。

 入場時にはマスク着用が義務付けられていたが、DJや客は友達と話す時や踊る時、たばこを吸う時にはマスクを外している。

 20代男性のチェン・チャン(Chen Qiang)さんは、新型コロナの流行を事実上抑えたと中国共産党を絶賛する。「中国政府は素晴らしい。国民のために何でもしてくれるし、国民も最高だ。海外諸国とは違う」

 中国国営メディアは、日常が戻った中国と外国の混乱状態を比較し、新型コロナの感染抑制に苦労する欧米政府をこき下ろす。そして、中国の成功は、その独裁主義的な政治モデルの優位性を示す証拠だと褒めちぎる。

 ナイトクラブのブランドマネジャー、リ・ボ(Li Bo)さんはAFPに、新型コロナによって、業界は大きな打撃を受けたと話す。「他国に比べると中国では、ロックダウンされても店の半分は少なくとも開いている。だが、顧客は今も不安を感じている」。リさんによると、武漢のナイトクラブの客足は約60~70%落ち込んでいるという。

 パーティー好きのシュウさんは、昨年春のロックダウンが今では「一生に一度の経験」だったように感じると話す。「(新型コロナに)感染しなくてラッキーだった。今では元の状態に戻り、リラックスしているし、楽しい」 (c)AFP/Sebastien RICCI