【1月22日 AFP】南アフリカの保健省は21日、英オックスフォード大学(University of Oxford)と英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)が共同開発した新型コロナウイルスワクチンの購入価格が、欧州諸国の約2.5倍になる見通しだと明らかにした。

 アフリカ大陸の中でも新型コロナの影響が深刻な南アは、インドにある世界最大のワクチンメーカー、インド血清研究所(Serum Institute of India)に少なくとも150万回分のワクチンを発注。1月から2月にかけての到着を予定している。

 南ア保健省の高官は21日、ワクチン1回分当たりの購入価格は、大半の欧州諸国の約2.5倍となる5.25ドル(約540円)になる見通しだとAFPに明らかにした。

 同省のアンバン・ピレイ(Anban Pillay)審議官は、「保健省は、わが国向けの見積価格が5.25ドルだと確認した」とメールで述べたが、価格差については説明しなかった。

 ベルギーの閣僚が昨年12月にツイッター(Twitter)でリークした情報によると、欧州連合(EU)加盟国のアストラゼネカ製ワクチンの購入価格は、わずか1.78ユーロ(約220円)となる見通しだった。

 高所得国と新型コロナワクチンメーカーとの二者間取引により、価格のつり上げと、低・中所得国への供給不足が懸念されている。

 世界保健機関(WHO)は昨年、有効なワクチンができれば「ワクチン・ナショナリズム」と「価格のつり上げ」が起きる可能性があると警告していた。

 アストラゼネカのフランス法人は昨年11月、「可能な限り公平に幅広い人々にワクチンを提供するため」ワクチン1回分の販売価格について、2.5ユーロ(約310円)を上限にするとAFPに述べていた。

 AFPは南ア保健省が明らかにした見積価格について、アストラゼネカにコメントを求めたが、これまでのところ回答は得られていない。(c)AFP