【2月24日 AFP】デルバンド・ラワンドゥジ(Delband Rawanduzi)さん(26)は、自身が栽培するオークの苗木に優しく語り掛ける。早く大きくなって、森林を再生してほしいと祈るように。イラク北部クルド人自治区の森林は、紛争や違法伐採、火災によって激減している。

 ラワンドゥジさんは今後5年間で100万本のオークを植樹するのを目標にしている。オークは回復力に富む木で、北部の寒さと酷暑の中での乾燥の両方に耐えられる。

 ラワンドゥジさんの計画は、彼女の生まれ故郷のクルド地域に根付きつつある。

 2020年後期の先行プロジェクトでは「オークの木を2000本植えました。次の秋には8万本を植える予定です」と、ハイカーでロッククライマーでもあるラワンドゥジさんは話す。

 ラワンドゥジさんは訪問客や羊飼いを募り、山からオークの種を採集してもらっている。種は、クルド人自治区の中心都市アルビル(Arbil)にある私立大学が寄贈した2棟の温室で栽培する。

 苗木が若木に成長すれば、自治区の農林庁が選定した山岳地域に植樹する。

 植えたオークを確実に成長させるため、ラワンドゥジさんは複数のスポンサーに木1本につき1000イラク・ディナール(約70円)の寄付を依頼している。

「この計画は、植樹だけに関わるわけではありません」と、ラワンドゥジさんは言う。

「気候変動の脅威への対応であるとともに、生態系を強化し、健全な気候に寄与する文化を人々の間に形成する取り組みでもあるのです」と、ラワンドゥジさんはAFPに語った。

 これらの脅威は深刻だ。クルド人自治区の関係当局によると、過去20年間で同地域の自然林と人工林合わせて90万ヘクタール近くが破壊されたという。

 これは森林面積の半分近くに相当し、破壊の大半はこの5年間に起きたものだ。