独バレエ団の人種差別に立ち向かう黒人ダンサー
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■「肌の色を明るくするのはアイデンティティーの否定」
昨年2月に復帰した後、公演で白いメークをするよう求められた。その考えに反対していた舞台監督が辞めた後だった。
「肌の色を明るくするのは、自分のアイデンティティーを否定することのように思えた」とロペスゴメスさんは言う。
昨年12月、ベルリン国立バレエ団は人種差別とその他の差別に関する内部調査を開始した。渦中の指導者はコメントを拒否しており、バレエ団は懲戒処分を下すかどうかについては法的な理由で沈黙を貫いている。
ロペスゴメスさんは、契約更新に至らず、7月に退団する。
バレエを始めた子どもの時から、自分は部外者だとずっと意識させられてきたというロペスゴメスさん。いつも溶け込むために「必死」で、周囲の言いなりだった。「でも、自分が排除されている気にさせられるのは、こういう(人種差別的な)発言が投げ付けられるから」だと話す。
クラシックバレエには19世紀にさかのぼる厳格なルールがあり、その目的が均一的な印象を生み出すことを意図したものであることを考えれば、この闘いは険しい。だが、ロペスゴメスさんは、現状を変える時だと思っている。「バレエにふさわしい体じゃないから黒人は雇えないという理由は聞き飽きた。ただの口実だ」 (c)AFP/Yannick PASQUET