【1月31日 AFP】ペットボトルにアルミ缶、衣類、時にはスパゲティ──シリア北東部のごみ捨て場では、収集車が新たにごみを運び入れると、人々は急いで「掘り出し物」を探しに行く。

 アルマリキヤ(Al-Malikiyah)郊外の乾いた平野で、防寒着に身を包んだ十数人が黒いごみ袋を引き裂いていく。売れるものや再利用できるもの、そして食べ物をも必死に探しているのだ。

 スカーフを巻き水色の帽子をかぶった女性が、焼かれて煙の上がるごみの山をかき分ける。平たいパンを腰からぶら下げた袋に詰め込む人。破れたパッケージからはみ出たスパゲティに伸びる手。小さな黒いブーツを見つける人や、ジーンズを手にする笑顔の子ども。これらは、ごみ捨て場で見られる光景だ。

 子どもを持つ40代の女性、ウム・ムスタファ(Umm Mustafa)さんは、家族を養う足しになるものを探しに、よくここに来ると語った。

「時々、まだ食べられるオレンジや捨てられたリンゴを見つけることがあります」とムスタファさん。手は荒れ、黒ずんでいる。

■他にどうしようもない

「私たちは食べるために見つけたものを持ち帰ります。何もかもが高いのです」

 10年近く続いた戦闘でシリア経済は荒廃、シリア・ポンドは急落した。国連(UN)の世界食糧計画(WFP)によると、2019年11月以降、同国の食品価格は3倍になっている。

 ムスタファさんの5人の娘たちも、よく一緒にごみ捨て場にものを探しに来る。長女は17歳だ。羊飼いの夫はその間、群れの世話をしている。

 飲食店が捨てたものをトラックが運んでくる日は最高だとムスタファさんは言う。「中には、きれいなままのものもあります」

 ムスタファさんは、「危険なのは分かっていますが、病院のごみもあさっています」と続けた。「そうするしかない。他にどうしようもないのです」 (c)AFP/Delil Souleiman