【1月21日 AFPBB News】地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」への復帰や、世界保健機関(WHO)からの脱退撤回、環境保護と新型コロナウイルス対策の強化など、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)新大統領は20日、就任宣誓の直後に多数の大統領令に署名した。就任直後のこうした大統領令への署名には、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前政権からの政策転換を打ち出す狙いがある。

【図解】バイデン米新大統領、就任後100日の主要な課題

 署名された大統領令の中には、連邦政府の施設でのマスク着用義務化、イスラム教徒が多数を占める国々からの入国禁止の解除、環境保護と新型コロナウイルス対策の強化、メキシコとの国境の壁建設の中止、連邦政府における民族的少数派の多様性と平等性の拡充するための取り組みなどが含まれた。

 ロン・クレイン(Ron Klain)首席補佐官は先日、ホワイトハウスの新しい幹部に渡したメモの中で、新型コロナ対策や米国の経済不況、気候変動や国内の人種的不公平について「緊急の対応を必要としている」とし、「バイデン氏は最初の10日間で、これらの危機に対応するため決然とした行動を取り、世界における米国の地位を取り戻す」と述べている。

 バイデン氏の側近らも、「同氏がトランプ政権が残した最も甚大な傷を修復するためだけでなく、国を前へ進め始めるために行動を起こしていく」と明らかにしていた。

 バイデン氏が就任初日から署名した大統領令は以下の通り。

■新型コロナウイルス
・「100日間マスクチャレンジ」
・世界保健機関(WHO)脱退撤回
・コロナ対策で連邦政府の連携を再構築

■経済救済策
・立ち退き・差し押さえの猶予期間延長
・学生ローンの返済猶予期間を9月30日まで延長

■気候・環境対策
・地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に復帰
・「キーストーンXLパイプライン」の建設許可の撤回、アラスカ州・北極圏国立野生生物保護区の石油・ガス鉱区リース権売却一時停止、気候危機への取り組み

■移民
・「ドリーマー」*計画の保護
・イスラム教徒の入国禁止**解除
・メキシコ国境沿いの壁の建設中止
・トランプ前政権の厳格な移民法執行を変更
・リベリア人グループ強制送還の延期

* 未成年時に親に連れられ不法入国した移民
** 一部のイスラム諸国国民に対する入国禁止令

■人権
・人種間の平等を促進する取り組みに着手
・市民権を持たない住民を米国勢調査から除外するトランプ氏の計画を撤回
・性自認や性的指向に基づく差別の予防・撤廃

■規制
・トランプ政権が退陣間際に発した規制関連の大統領令を見直す大統領覚書を発出

■倫理
・政府に対する国民の信頼の回復と維持(行政府被任命者の倫理誓約)

(c)AFPBB News