■温暖化が「児童の食事の多様性に多大な影響」

 研究チームは、この調査で特に食事の多様性に焦点を当てた。食事の多様性は国連の基準の一つで、食事の種類の豊富さや微量栄養素の摂取量を測定する。

 微量栄養素は、鉄、葉酸、亜鉛などのミネラルおよびビタミンAやDを含み、子どもの心身の発育に欠かせない。だが炭素汚染の増加で、麦、コメ、マメ科植物など多くの主要作物に含まれる必須の微量栄養素の量が減少していることが分かっている。

 対象児童は、調査前24時間以内に最大10のうち平均3.2の食品群の食材を食べていた。食品群には肉類、魚類、穀物、緑黄色の葉物野菜が入る。対照的に、中国の児童は、その倍となる平均6.8の食品群の食材を食べている。

 研究結果は、温暖化や不規則な気象パターンが「児童の食事の多様性に、長期的にも短期的にも多大な影響を与えた可能性がある」としている。

 温度上昇は、世界にとって重要な主要作物の収穫高に直接的な影響を与え、さらに家畜の生産性を低下させる恐れがあり、いずれの場合も児童の栄養素の摂取に影響する。加えて、暑い時期に妊娠している女性は比較的体重の軽い赤ん坊を出産することが多く、その場合、生まれた子どもが発育阻害に陥るという追加的なリスクもある。

 この研究報告の執筆者たちが各国政府に訴えるのは、最も脆弱(ぜいじゃく)な子どもたちのための食事を改善する計画に気候変動を組み込むべきであるということだ。

「そのことに、この世界規模の調査でたびたび気付かされた」と共同執筆者で、バーモント大学のガンド環境研究所(Gund Institute for Environment)所長のテイラー・リケッツ(Taylor Ricketts)氏は述べている。

「継続する環境の劣化が、これまで50年間積み重ねた、世界規模の健康増進という著しい成果を損ねかねない」 (c)AFP/Patrick GALEY