【1月28日 AFP】気候変動が子どもの栄養失調や乏しい食事を悪化させる可能性があるとの研究結果が今月、発表された。従来の原因である貧困や不衛生な環境よりも影響が大きいとみられている。

 過去数十年にわたり、幼児期の栄養不良(栄養素過剰も含む)は世界的に減少している。一方、栄養不足は2015年から増加しているが、これは温暖化や異常気象が原因の場合もある。

 国連(UN)によると、2019年に慢性的な栄養失調による発育阻害が認められた5歳未満児は1億4400万人で、さらに栄養素の低摂取が原因で衰弱した同年代の子どもは4700万人に上った。

 必須栄養素が減少している地域が増えているため、地球人口100億人に適切な食事を与える人類の食糧供給力は、今世紀半ばまでに逼迫(ひっぱく)するだろうと専門家は危惧している。

 米バーモント大学(University of Vermont)が率いる研究者のチームは、アジア、アフリカ、南アメリカにある19の低所得国に住む10万人以上の5歳未満児を対象に、食事の多様性を調査し、調査結果を30年に及ぶ温度や降水量のデータと統合した。そこで判明したのは、調査した6地域のうち5地域で、温度上昇が食事の質の著しい低下を伴っていることだ。

 英学術誌「エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ(Environmental Research Letters)」への1月14日付の投稿で研究チームは、児童の発育に関して世界が達成した大きな進歩が、気候変動で無駄になってしまう恐れがあると警告している。

 論文の主執筆者で、バーモント大学の栄養・食品学の助教、メレディス・ナイルズ(Meredith Niles)氏は、「今後の気候変動が栄養失調に影響するという予測が以前からあったのは確かだが、温度上昇による影響がすでに認められるのには驚いた」と述べている。