【1月20日 AFP】新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)をめぐる世界の対応について調査している独立委員会は19日、新型ウイルスの流行により、世界保健機関(WHO)が国際社会の期待する任務の遂行においていかに財源不足で無力な存在であるかが浮き彫りになったと指摘した。

 パンデミックの事前準備および対応に関する独立委員会(IPPR)の共同議長はWHO理事会に提出した報告書で、パンデミックの初期にWHOがより迅速に、断固とした姿勢で行動できたはずだとの見解を表明。一方、対応の遅れや失敗の主な原因は、WHOの弱い立場にあると強調し、財源の拡充と改革が喫緊の課題だと指摘した。

 IPPRの共同議長の一人、エレン・サーリーフ(Ellen Sirleaf)前リベリア大統領は記者会見で、危機の渦中、加盟国はWHOの指導力を求めたが、任務の遂行を期待されたWHOは「力も資源も不足した状態」にあり続けたと指摘。サーリーフ氏とともに共同議長を務める、ニュージーランドのヘレン・クラーク(Helen Clark)元首相も、WHOの財源不足と、任意の拠出金という不安定性に過度に依存する危険性に言及した。拠出金は任意のため、最大の資金拠出国だった米国が昨年、支援を停止したように、突然無くなる恐れがある。

 クラーク氏はWHOへの拠出金について、米ニューヨークの病院一つが受ける支援の金額を下回っていると指摘。「WHOの財源は悲惨」な状況にあると強調した。(c)AFP/Nina LARSON